6社の動画APIに、各社が公開している最低解像度に近い設定で5秒の動画を生成させると、請求額は$0.25、$0.30、$0.40、$0.50、$0.76、$2.00に分かれます。動画生成APIの料金ページを比較するとき、単価をそのまま見比べても意味はありません。秒単位、クレジット単位、生成単位、ピクセル単位、トークン単位の課金を、目的の解像度における「生成1秒あたりのドル」にそろえる必要があります。以下では、公開料金表と各日付時点の確認結果をもとに換算しますが、この作業をするだけでランキングはキャンペーン割引以上に大きく変わります。
「月末になるたび、AI動画の請求額に驚かされていた」―「プラットフォームごとにクレジットの計算方法が違う」と気づき、料金計算ツールを作ったu/abarth23の言葉(r/SideProject)
同じ5秒動画でも料金が違う。決め手は課金単位
動画生成APIのコストを大きく左右するのは、見出しに書かれた単価ではなく課金単位です。今回取り上げる6社では、5種類のメーターが使われています。同じリクエストでも、クレジット制なら解像度のランクと前払いパッケージの条件に左右され、ピクセル制なら生成する全フレームに応じて増え、生成単位制なら所定の時間境界を超えるまで料金は変わりません。
| ベンダー / API | 課金単位 | 公式料金の基準 |
|---|---|---|
| Runway API | 出力1秒あたりのクレジット(1クレジット=$0.01) | Gen-4 Turboは5クレジット/秒 |
| Kling Open Platform | 1秒あたりの前払いクレジット(1クレジット約$0.02) | V3 Standard 720pは5クレジット/秒 |
| Luma Agents API | 解像度 × 尺 × ダイナミックレンジによる生成単位 | Ray 3.2の720p・5秒クリップは$0.30 |
| MiniMax Open Platform | 生成1秒あたり(USD) | H3は768Pで$0.08/秒 |
| Veo 3.1 via Gemini API | 1秒あたり(USD) | Fastは720pで$0.10/秒 |
| BytePlus Seedance 2.0 | トークン(usage.completion_tokens) | 720p・5秒生成で$0.76 |
このうち、特に注意したいのがKlingとRunwayです。KlingのAPI料金は、購入した前払いパックによって変わります。$9.80のトライアル、$98のStarter、$980のStandardではクレジット単価が約$0.020ですが、$4,200のEnterpriseパックでは約$0.014まで下がります。同じ処理でも実効単価に30%の差が出るうえ、クレジットの有効期限はトライアルが30日、大型パックが90日です。Runwayは1クレジット=$0.01で固定されているため、少なくとも計算は安定しています。
5種類の課金方式を整理する
ドル建ての秒単位課金:Veo 3.1とMiniMax H3
GoogleのGemini APIでは、Veo 3.1 Standardは720pと1080pがともに$0.40/秒、4Kが$0.60/秒です。Veo 3.1 Fastは720pで$0.10/秒、1080pで$0.12/秒。MiniMaxはH3を768Pで$0.08/生成秒、2Kで$0.13/秒として課金します。ドル建ての秒単位課金は予算を立てやすい方式です。基本的な変数は尺だけで、解像度による価格差も決められたランクの範囲に収まります。
クレジット×秒:RunwayとKling
Runwayの料金表では、1クレジットを$0.01として生成料金を計算します。Gen-4 Turboは5クレジット/秒($0.05/秒)、Gen-4.5は12クレジット/秒($0.12/秒)、veo3.1は音声なしで20クレジット/秒、音声ありで40クレジット/秒です。KlingはV3 Standard 720pの5クレジット/秒(約$0.10/秒)から、音声付きO3 Pro 1080pの20クレジット/秒(約$0.40/秒)まで段階的に設定されています。この方式では、出力動画の秒数以外に何が課金対象になるかを確認しなければなりません。Runwayのseedance2_5では、1080p出力の68クレジット/秒に加えて、入力動画と参照動画に34クレジット/秒がかかり、さらに生成1回あたり80クレジットの最低料金があります。
生成単位で一括課金:Luma Ray 3.2
Lumaの新しいAgents APIでは、Ray 3.2を生成単位で課金します。720p・5秒クリップは$0.30、1080pは$1.20、720p HDRは$0.60、HDRにEXR書き出しを加えると$0.90です。キーフレーム1枚からの延長は、durationを短く指定しても常に5秒分の1ブロックとして扱われます。料金を見積もりやすい一方、解像度の境目をまたぐと急に跳ね上がるのが難点です。同じ5秒でも720pから1080pにするだけで4倍になります。
メガピクセル単位:Lumaの旧Ray 2メーター
Lumaの旧Dream Machine APIでは、動画のModifyを100万ピクセル単位で課金します。ray-2は$0.01582/Mpx、ray-flash-2は$0.00544/Mpxです。ピクセル課金が解像度変更に弱い理由は、計算するとよく分かります。1280 × 720 × 24 fps × 5秒は約1億1060万ピクセルなので、$0.01582 × 110.6 ≒ $1.75。これはLumaが示している720p・5秒・16:9のModify料金と一致します。縦横の解像度を2倍にすると、ピクセル数も請求額もおおむね4倍になります。
トークン単位:BytePlus Seedance
BytePlusのSeedance 2.0は、利用量をusage.completion_tokensとして返します。料金は公開された秒単価ではなく、実際に返されたトークン数に連動します。2026年6月17日にBytePlusの料金を確認した結果では、16:9・5秒の動画は480pで$0.35、720pで$0.76、1080pで$1.87でした。480pから720pで2.2倍、720pから1080pでさらに2.5倍です。見積もりには単純な秒割りではなく、リクエストの内容を踏まえた計算が必要になります。
5秒動画に換算すると、実際はいくらかかるのか
6社の各APIについて、公開されているモデルと、対応する最も近い解像度で8つの構成を比較します。
| API | 低解像度・5秒 | 1080p・5秒 | 料金の計算方法 |
|---|---|---|---|
| Runway Gen-4 Turbo | $0.25(720p) | $0.25 | 5クレジット/秒 × 5秒 × $0.01。解像度による料金ランクは掲載なし |
| Luma Ray 3.2 | $0.30(720p) | $1.20 | 解像度別の生成単位課金 |
| MiniMax H3 | $0.40(768P) | - | $0.08/秒 × 5秒。2Kは$0.13/秒 |
| Kling V3 Standard | $0.50(720p) | - | 5クレジット/秒 × 5秒 × $0.02 |
| Kling V3 Pro | - | $0.80 | 8クレジット/秒 × 5秒 × $0.02 |
| Veo 3.1 Fast | $0.50(720p) | $0.60 | $0.10/秒および$0.12/秒 |
| BytePlus Seedance 2.0 | $0.76(720p) | $1.87 | トークン課金。2026年6月に確認 |
| Veo 3.1 Standard | $2.00(720p) | $2.00 | $0.40/秒、音声込み |
ここで比べているのは請求方式であり、出力品質ではありません。1080pの列を見ると、課金方式の差がはっきりします。Gen-4 Turboはクレジット単価が変わらず、Lumaはブロック料金が4倍になり、Seedanceはトークン課金が2.5倍に膨らみます。
課金方式に潜む6つの追加コスト
- 解像度による倍率。ピクセル課金では720p → 1080pでコストが約2.25倍、Lumaの生成単位課金では4倍になります。一方、秒単位のVeo 3.1 Standardは4K($0.60/秒)になるまで解像度による追加料金がありません。
- 音声の追加料金。Runway経由のVeo 3.1は音声を有効にすると20クレジット/秒から40クレジット/秒へ倍増します。KlingのO3音声付きモデルは12~20クレジット/秒で、無音のV3は5~8クレジット/秒。音声を付けるだけで2~2.4倍になります。
- 入力素材と参照素材の再課金。Runwayの料金表では、
seedance2_5の入力・参照動画に34クレジット/秒がかかり、上限は30秒です。MiniMaxの料金ページでは、入力動画に対象解像度に応じて$0.08~0.13/秒がかかります。画像は最初の5枚まで無料で、それ以降は1枚$0.04。768Pで作った動画を2Kで再生成すると、入力素材も再び課金されます。 - 最低料金という落とし穴。Runwayの
seedance2_5には80クレジット、つまり$0.80の最低料金があります。短いテスト動画でも、フル尺の生成と同じ料金になる可能性があります。seedance2_miniの最低料金は64クレジットです。 - 前払いクレジットの失効とパック差。Klingではクレジットが30日または90日で失効するため、使い切れなければそのまま損失になります。Enterpriseパックならクレジット単価を約30%下げられますが、$4,200を先に支払う必要があります。
- フレーム単位のアップスケール。RunwayのMagnific video upscalerは、720pで出力1フレームあたり$0.007です。30 fpsの10秒動画なら300フレーム、210クレジットになります。
fpsBoostを有効にすると出力フレーム数が変わり、料金も変動します。同じスレッドでu/abarth23が述べているように、「4Kアップスケールでは、気づかないうちに使用量が倍になる」ことがあります。
生成に失敗したとき、請求されるのか
生成失敗時の返金ルールはベンダーごとに異なります。リトライが多いパイプラインでは、その差が試行のたびに積み重なります。GoogleのGemini APIドキュメントによると、音声処理に失敗した生成は課金されません。LumaのAgents APIはfailure_code別の返金表を公開しており、content_moderated、generation_failed、output_not_foundは返金対象です。一方、budget_exhaustedでは一部が課金される場合があり、同期リクエストの拒否は課金されません。KlingのAPIは失敗したタスクでクレジットを消費しないとされていますが、これは料金表の記載ではなく、Kling 3 APIの料金ガイドに記録された第三者による観測です。Runwayの料金ページでは、各生成で実際に消費したクレジットがレスポンスメタデータに記録されるため、返金ポリシーが明記されていなくてもリトライ分を追跡できます。
ワークロードに合う課金方式を選ぶ
安価で使い捨てに近い動画を大量に作るなら、秒単位のドル課金が分かりやすい選択肢です。MiniMax H3は$0.08/秒、Veo 3.1 Fastは$0.10/秒。固定クレジット制のGen-4 Turboも$0.05/秒で、追加生成のコストを把握しやすい構成です。音声を重視する場合は倍率を別途見積もりましょう。Runway経由のVeo 3.1は音声付きで$0.40/秒、Kling O3 Proも約$0.40/秒となり、無音のモデルに比べて2~4倍です。
参照素材を多用するワークフローでは、出力料金だけで判断できません。ベンダーを比較する前に、画像1枚あたりのクレジットも数えておきましょう。Runwayのgrok_imagine_1_5では1枚1クレジット、MiniMaxでは無料の5枚を超えると1枚$0.04です。また、1080pの出力コストが制約になるなら、フラットな課金方式で720pの下書きを作り、最後の1回だけ生成単位またはピクセル課金の解像度プレミアムを支払うほうが、毎回フル解像度でレンダリングするより安くなることがあります。もちろん、最終出力でその高価なメーターの品質差が生きることが前提です。
5つの料金ダッシュボードを個別に確認する作業そのものが負担なら、複数の動画モデルを1つのUSD建てAPIから使えるリレー型プラットフォームも選択肢になります。AIReiterの料金ページでは、動画モデルのカタログを1つの単位で掲載しています。
FAQ
MiniMaxの動画生成はトークン課金ですか?
いいえ。MiniMaxのOpen Platformでは、LLMは100万トークン単位で課金されますが、動画は生成秒数で課金されます。H3は768Pで$0.08/秒です。旧Hailuoモデルでは、固定されたクリップ構成ごとの料金となり、768P・6秒のHailuo-2.3は$0.28です。トークン課金だと思われやすいのは、MiniMaxのテキスト向け料金体系が混同されるためです。
720pから1080pにすると料金は2倍になりますか?
課金方式によります。ピクセル課金なら約2.25倍、Lumaの生成単位課金なら$0.30から$1.20へ4倍、BytePlus Seedanceのトークン課金は2026年6月の確認時点で2.5倍でした。一方、Veo 3.1 Standardは720pと1080pのどちらも$0.40/秒で変わりません。
動画生成に失敗しても課金されますか?
GoogleのGemini APIでは、音声処理に失敗した生成は課金されません。Lumaでも、content_moderated、generation_failed、output_not_foundに該当する失敗は返金されます。ただしbudget_exhaustedでは一部が課金される場合があります。Klingも失敗タスクではクレジットを消費しないとされています。リトライが無料だと決めつける前に、各ベンダーの失敗コードを確認してください。
今回確認したなかで、最も安い秒単価の動画APIは?
Runwayの料金表によると、Gen-4 Turboの5クレジット/秒 × $0.01、つまり生成1秒あたり$0.05が今回の比較では最安です。続いてMiniMax H3が768Pで$0.08/秒、Veo 3.1 Fastが720pで$0.10/秒です。
前払いの動画クレジットには有効期限がありますか?
KlingのAPIにはあります。トライアルパックは30日、大型パッケージは90日で失効するため、買いすぎるとそのまま損失になります。Runwayの開発者ポータルのクレジットは1クレジット=$0.01で、有効期限の記載はありません。ただし、料金ページには繰り越しポリシーが明記されていないため、大きな金額をチャージする前に確認してください。
料金ページだけでは決められないトレードオフ
今回の比較では、生成単位のブロック課金が最も予測しやすい一方、プロジェクトが1080pに移行したときの負担は最も大きくなります。ピクセル課金は実際のレンダリング量に連動し、同じように解像度を上げるだけで静かに4倍になります。前払いクレジットは30%の割引と引き換えに有効期限があり、トークン課金は実際の消費量を反映する代わりに、単純な割り算で予算を組みにくい方式です。
契約や本格導入の前に、料金を「正常に生成できた動画1秒あたりのドル」に換算し、料金表を四半期ごとに見直しましょう。Lumaは、連続する2つの料金体系の間でピクセル課金から生成単位のブロック課金へ移行しました。また、OpenAIのSora動画APIは2026年9月24日に提供終了予定で、後継サービスは掲載されていません。