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Suno Studio 2.0レビュー:MIDI、ウェーブテーブルシンセ、ステム書き出しの損得

最終更新日: 2026-08-17 01:11:09

AI生成曲をDAWで仕上げるなら、これまでのSuno Studioには決定的に足りないものがあった。MIDI、オートメーション、そして実際に弾ける音源だ。2026年8月13日にPremier加入者向けに提供されたSuno Studio 2.0は、この3点をまとめて追加した。一方で、より見逃せない変更は書き出しにある。Premierでは、今後導入される月60件のダウンロード上限とは別枠で、32ビット/48kHzのマルチトラックステムを無制限にエクスポートできる。トラックごとに課金される分離サービスと比較したときの損得が変わる仕様だ。ただしChatバーはベータ版であり、過去のレビューが指摘してきた生成の安定性は、今回のリリースノートでも解決されたとは示されていない。

Studio 2.0で制作フローはどう変わるか

従来のStudioは、テキストプロンプトからの生成とステム出力が中心だった。Studio 2.0ではMIDI入力、オートメーション、内蔵シンセ、エフェクトの拡充、Premier向け高品質エクスポートが加わる。Suno自身もローンチ記事で、プロンプト起点だったStudio 1.xの設計を改めるアップデートとして位置付けている。主な違いは次の通りだ。

項目Studio 1.x(1.2まで)Studio 2.0(2026年8月)
MIDI非対応。オーディオからのMIDI抽出のみインポート、録音、編集、MIDI Learn、キーボード演奏
音源生成ステムのみウェーブテーブルシンセ、アルペジエーター、コードモード
オートメーション非対応カーブの描画、パラメーター操作の録音
エフェクト基本的なトラック別処理サイドチェインコンプレッサー、コンボリューションリバーブ、EQ、ディレイ、ディストーション、ゲート
分離Suno生成曲のステムのみ読み込んだ外部オーディオも分離可能
書き出しWAVステム、仕様は未公表Premierで32ビット/48kHzマルチトラックを無制限に出力

これはMusicTechの2026年1月レビューともきれいに重なる。同レビューはStudioを10点中6点とし、MIDI打ち込み不可、オートメーション非対応、生成結果の予測不能さ、さらに「細部まで聴き込むと粗が目立つ」アーティファクトを問題に挙げていた。2.0は前者2点には直接応えたが、生成の一貫性やアーティファクトはMIDIエディターだけで直る性質の問題ではない。

Premierの現行料金と「月額30ドル」表記の食い違い

Studio 2.0を使えるのはSunoのPremierプランのみで、ProとFreeでは開けない。2026年8月17日にsuno.com/pricingで確認した内容は以下の通り。

プラン料金クレジットStudio利用楽曲ダウンロード(2026年9月3日以降)
Free$050/日不可0
Pro$8/月(年払いで約$6)2,500/月不可20/月
Premier$24/月(年払いで約$18)10,000/月可60/月

またPremierでは、ステム分離の方式がAuto、Split from mix、Advanced splitの3種類となる。Proは2種類だ。

料金には注意したい食い違いがある。MusicRadarのローンチ記事(8月14日)はPremierを月額$30、年払いで月額$24として紹介し、Artifactrの2026年6月のステム解説も依然として$30と記載している。現在の料金ページは月額$24、年払いでは年間$72節約と表示しているため、契約前には決済画面の金額を確認したい。

MIDI録音とオートメーション:コントローラーなしでも使えるが、10クレジットの条件もある

Studio 2.0のMIDIは、インポート、録音、ノート編集まで一通りをカバーする。タイムライン上でも専用MIDIエディターでも編集できる。Sunoは「MIDIはStudioで最も要望の多かった追加機能」だとしており、レイテンシー補正も同時に実装した。録音した演奏を、弾いた位置に正しく配置するための機能だ。

オートメーションカーブも今回から利用できる。手描きでカーブを作る方法に加え、フェーダーやノブを動かした操作をライブでレーンへ記録できる。対象は任意のトラックまたはプラグインパラメーターで、フィルタースイープやダッキングのために、エフェクトを生成結果へ焼き込む必要はなくなる。

ハードウェアコントローラーがなくても、PCキーボードを使う演奏モードにアルペジエーターとコードモードが用意されている。コントローラーを使う場合は、内蔵シンセの演奏、トランスポート操作、ノブをプラグインパラメーターへ割り当てるMIDI Learnなどに対応する。

ただし生成系の機能にはクレジット消費がある。StudioのオーディオからMIDIへの変換で使う「Get MIDI」は、ステム1本につき10クレジット。得られるのは元のノートデータではなく、解析によるトランスクリプションだ。MelodexのKevinは、変換後のMIDIでベースのオクターブ違い、ノート長の不正確さを報告しており、エクスポートしたステム1本につき5〜10分の修正作業を見込んでいる。

Premierの月10,000クレジットで考えれば、生成に一切使わない前提で約1,000回分の抽出に相当し、10クレジットは高くない。ただし、ボーカルからのMIDI変換は提供されず、対象はメロディックな楽器ステムのみだ。逆に、MIDIクリップを新たな生成オーディオのプロンプトとして使う場合は、MusicRadarのデモによれば、元パートの音程、リズム、ダイナミクスを保ちながら音色だけを置き換えられる。

ウェーブテーブルシンセ、標準エフェクト、Chatで作るプラグイン

内蔵音源の目玉はウェーブテーブルシンセだ。テキストプロンプトからではなく、実際に演奏できるエンジンで音色を作るのはStudio初となる。エフェクトもDAWの標準バンドルに近い顔ぶれで、リバーブ(コンボリューションを含む)、ディレイ、コンプレッサー(サイドチェイン対応)、ディストーション、EQ、ノイズゲートを搭載。いずれも、インターフェース下部に新設された横長のチャンネルストリップから扱う。

より異色なのは、ベータ版と明記されたChatバーだ。シンセプリセットの作成、セッションのアレンジ、トラック名の一括変更に加え、テキスト指示から独自のオーディオプラグインを生成できる。MusicRadarのデモでは、ロータリーキャビネット風のトレモロをプロンプトで作成しており、DAW内でのカスタムプラグイン生成はDAWとして初めてだとしている。現時点でプラグイン作成にクレジットは不要だが、Sunoは「将来的にクレジット制を導入する可能性がある」と明記している。無料で作れる現状は恒久仕様ではなく、ローンチ時期の優遇と考えるべきだろう。

ステム書き出しの費用対効果:無制限32ビット/48kHzとトラック単位課金を比べる

Premierの価値を具体的に判断するには、Sunoのダウンロードを実質的に2つの経路として分けて考える必要がある。

何を、どこまでダウンロードできるのか

Sunoは2026年9月3日のポリシー変更で、通常の楽曲ダウンロードに上限を設ける。Freeは0件、Proは月20件、Premierは月60件だ。ただしStudioからの書き出しは別扱いとなる。Studio 2.0の発表によると、Premierユーザーは32ビット/48kHzのマルチトラックとステムをダウンロード数の制限なくエクスポートできる。r/SunoAIでダウンロードファイルを確認したユーザーの報告もこれと一致し、Studioのステムは32ビット/48kHz WAV。一方、旧来のメニューから使う「Extract Stems」は16ビット/48kHzファイルを出力するという。同スレッドでは、後者は1回50クレジットとの報告もあるが、この数値はSunoのヘルプでは確認できない。

これで、情報源ごとに異なる数値も説明できる。Melodexのガイドが挙げる2.0以前の44.1kHz/16〜24ビットと、Redditユーザーが計測したStudioの32ビット/48kHzは、別の経路の話だ。メニューからの抽出は手早い分離向け、Studioのマルチトラック書き出しはセッション全体向けとなる。Sunoのヘルプセンターには依然として公式仕様表がないため、これを前提にテンプレートを組むなら、まず自分のファイルメタデータを確認したい。両者を比較したユーザーは、論点をこう端的に述べている。

「でも、実際の音質に違いはあるの?」 — u/LyckeMi、r/SunoAI

32ビットfloatはミックス時のヘッドルームを増やせるが、同スレッドにはビット深度の違いが分離精度そのものを向上させると示す材料はない。

外部の分離サービスではいくらかかるか

単体の音源分離サービスは、通常は処理時間で課金する。LALAL.AIの料金ページでは、消費量を「ファイルの長さ × 選択したステム種別数」と定義している。つまり4分の曲を4ステムへ分離すると、16分の処理時間を使う計算になる。

サービス料金内容4分・4ステムの1曲あたりコスト
LALAL.AI Lite$7.50/月優先キュー90分約$1.33
LALAL.AI Pro$15/月優先キュー250分約$0.96
LALAL.AI 追加処理時間$50〜300パック750〜5,000分$0.96〜1.07
Sunoメニューの「Extract Stems」1回50クレジット(ユーザー報告、未確認)16ビットファイルクレジット換算で約$0.12
Moises無料枠$0月5アップロード、ファイルは5分まで、2または4トラック$0(上限あり)
UVR / Demucs ローカル実行$0GPUも時間も自分で用意$0

LALAL.AIの有料処理時間には優先キュー処理が含まれる。有料プランでは、低優先度キューでの処理は無制限だ。Moisesは有料料金をログイン後にのみ表示し、DemucsとUVRはローカルで無料実行できる。

4分の楽曲1曲を分離した場合の追加コストを比較する棒グラフ。Suno Studio 2.0 Premierの書き出しとUVRローカルは$0、Sunoメニュー抽出はクレジット換算で$0.12、LALAL.AI Proは$0.96、LALAL.AI Liteは$1.33 MIDI、Chatバー、ステム分離、エフェクト、オートメーションを掲載したSuno公式のStudio 2.0発表ページ

この計算から出る結論は明快だ。純粋に分離だけを目的にするなら、Premierは割に合わない。月10曲を分離するならLALAL.AI Proの$15/月に収まり、優先キュー250分で約15曲を処理できる。Premierは生成に使わない10,000クレジット込みで$24となり、UVRなら$0で済む。

ただしSunoユーザーにとっては、この比較自体が的外れでもある。Studio書き出しは生成機能を含むサブスクリプションに組み込まれている。Sunoのプランページでは、10,000クレジットで最大2,000曲、すなわち1曲あたり約5クレジットとしており、加えて1回10クレジットのMIDI抽出とシンセも使える。Sunoで曲を生成し、マルチトラックをDAWへ持ち出して仕上げるなら、Premierを生成目的で正当化できた時点で、1回ごとの書き出しコストはゼロだ。Premierは生成から仕上げまでの流れのために契約し、すでに手元にある音源の分離ならLALALまたはUVRを選ぶのがよい。

Studio 2.0に残る不満点

ChatバーはSuno自身がベータ版としており、プロンプト追従性は2.0以前からの課題だった。MusicTechのレビュアーは、「プロンプトに反してアカペラ部分へ不要なシンセソロが加わった」ケースを確認している。また、高域トランジェントのにじみや可聴アーティファクトも報告した。Studio 2.0のローンチノートには、生成品質そのものが向上したという主張はない。MusicTechはステム分離のパート割り当てミスも確認しており、ボーカルについて長年のSunoユーザーは次のように述べている。

「ボーカルは本当に当たり外れが大きい」 — u/LyckeMi、r/SunoAI

Studioはブラウザ専用のままで、MusicTechのレビュアーはSafariの不具合からChromeへ移行している。Sunoの発表では、サードパーティ製VST/AUプラグインの読み込み、共同作業、オフラインプロジェクトについても触れられていない。MusicRadarはSunoが現在ダウンロードにウォーターマークを付与しているとも報じているため、配信可能な完成物として公開する前に、Sunoの現行商用利用規約を確認しておきたい。

今月Premierを契約すべき人

あなたの用途判断理由
Sunoで生成し、マルチトラックをDAWで仕上げる10kクレジットがすでにワークフローに合うなら契約無制限の32ビット/48kHz書き出しが付帯し、契約後の書き出しコストは$0
すでに所有している音源を分離したい見送るUVRは無料、Moisesは月5件まで無料、LALALは1曲約$0.96〜1.33で、いずれも$24を下回る
Sunoの曲をそのままSNSへ投稿するPro、$8Studioは不要。月20件のダウンロードでカジュアルな投稿には足りる
プロ案件で締切が厳しい待つベータ版のChatと一貫性の問題があり、MusicTechの評価は2.0以前で6/10。Studioは納品用ツールよりスケッチパッド向き

Suno Studio 2.0 FAQ

Suno Studio 2.0はフル機能のDAWになった?

ほぼ近づいた。MIDI録音、オートメーション、ウェーブテーブルシンセ、トラック別チャンネルストリップにより、機能面の隔たりはかなり縮まっている。ただしStudioはブラウザで動作し、サードパーティ製VST/AUの読み込みは文書化されていない。さらに通常のDAWワークフローに、クレジット制やウォーターマークといった生成AI特有の要素が重なる。

Studioからの書き出しは月60件のダウンロード上限に含まれる?

含まれない。2026年9月3日以降、Premierの月60件は通常の楽曲ダウンロードに適用される。Sunoの2.0発表によれば、Studioのマルチトラックおよびステム書き出しには上限が明記されていない。

Studioのステムは本当に32ビット/48kHz?

SunoのStudio 2.0発表では、マルチトラックおよびステム書き出しを32ビット/48kHzとしている。ダウンロードファイルを測定したユーザーの報告も一致する。旧来のメニューから使う「Extract Stems」は16ビット出力とされており、仕様の異なる別経路だ。

Studio 2.0でVSTやAUプラグインは使える?

Sunoは発表記事でもヘルプでもVST/AUの読み込みを案内していない。使えるのは標準エフェクトラックとChatバーで生成したものに限られる。Ableton、Logic、FL StudioへステムとMIDIをエクスポートすることが、外部プラグインを使うための出口になる。

Free、Pro月額$8、Premier月額$24を表示するSunoの現行料金ページ