モデル選定では、価格、コンテキスト長、ベンチマーク、提供元をその都度確認したくなります。OpenRouter MCPは、そうした調査や試験をエージェントから行うためのホスト型Model Context Protocolサーバーです。ライブの価格、ベンチマーク、エンドポイント、ドキュメントを調べ、モデルを決める前に試せます。ただし、本番環境でOpenRouter APIを置き換えるものではありません。
まず結論:OpenRouter MCPで変わること
公式サーバーのURLはhttps://mcp.openrouter.ai/mcpです。Claude Code、Cursor、Claude Desktopといった対応クライアントをリモートHTTPで接続すれば、会話の中からOpenRouterのツールを呼び出せます。主な役割はカタログの調査とモデルの試験です。アプリケーションに組み込む処理は本番用のAPIで、プロバイダーのアカウントやサービスに属する操作は各社のMCPで扱います。
| やりたいこと | 使うもの | 理由 |
|---|---|---|
| 価格、コンテキスト、モダリティ、ベンチマーク、プロバイダーから現行モデルを探す | OpenRouter MCP | カタログとエンドポイントのライブデータを照会できる |
| 候補モデルに同じプロンプトを実行する | OpenRouter MCP | send-messageで指定したモデルスラッグを試し、生成IDを取得できる |
| 自社プロダクトからモデルを呼び出す | OpenRouter API | キー、リトライ、プロンプト、ログをアプリケーション側で管理できる |
| 特定プロバイダーのサービスやアカウントを操作する | そのプロバイダーの公式MCP | OpenRouterが管理しない機能まで公開できる場合がある |
| 調査中に画像を生成する | OpenRouter MCP。ただし慎重に | generate-imageは推論を実行するため、課金対象になり得る |
OpenRouterの公式発表では、ライブのモデルデータ、ランキング、価格、ドキュメント、テスト推論が案内されています。エンドポイント、ツール、認証の挙動についてはMCPドキュメントを確認してください。
サーバーURLより先に、使い方を決める
実用的なのは、探す、比較する、試す、確認するという流れです。「最適なモデルは何か」という曖昧な問いを、明示的な条件に基づく判断へ変えられます。
- 探す:タスク、価格、コンテキスト長、モダリティ、プロバイダーの条件を満たすモデルを検索します。最新のカタログとベンチマーク情報には
list-modelsとlist-benchmarksを使います。 - 比較する:候補ごとに
list-model-endpointsを呼び出し、利用可能な範囲でプロバイダー単位の価格、レイテンシ、スループット、データポリシーを確認します。 - 試す:モデルスラッグを指定し、
send-messageで同じプロンプトを実行します。この操作には推論料金が発生する場合があります。 - 確認する:各生成IDを
get-generationに渡し、トークン数、コスト、実際に処理したプロバイダーを確認します。
Claude CodeやCursorでは、次のように依頼できます。
OpenRouter MCPを使って、法務文書から構造化データを抽出するための
モデルを3つ探してください。条件は、コンテキスト長が100k以上、
ツール呼び出し対応、利用可能な入力価格が最も低いことです。
プロバイダーとデータポリシーを比較してください。その後、最良の候補2つに対して、
send-messageで以下のプロンプトを完全に同一の内容で実行してください。
"Extract every contract renewal date from the text below. Return only JSON
with an array named renewals, each item containing party, date, and evidence."
テスト後、各生成IDにget-generationを使い、実際のコストと処理した
プロバイダーを報告してください。候補を私が承認するまでモデルを呼び出さないでください。
カタログ検索は読み取り専用ですが、send-messageでは推論料金が発生し得るため、テスト前の承認を求めるべきです。再現可能な評価を行うなら、モデルとプロバイダーを明示してください。:free、:floor、:nitro、:onlineのようなサフィックスは、利用可能な場合にルーティングの優先度を表すものであり、品質を固定的に保証するものではありません。
公式リモートサーバーを接続する
ローカルへのインストールは不要です。リモートエンドポイントを追加し、ブラウザベースのOAuthを完了して、ほかのキーとは分けた専用のOpenRouterキーを認可します。ドキュメント上のデフォルトは、有効期限7日間、利用上限$10です。いずれも承認画面で変更できます。OpenRouterはPKCEを使ったOAuthを採用しているため、通常のAPIキーをクライアント設定へ貼り付けるのではなく、ブラウザ上で認可します。
Claude Codeでの設定
以下を実行します。
claude mcp add --transport http openrouter https://mcp.openrouter.ai/mcp
claude mcp login openrouter
1行目でリモートHTTPサーバーを登録し、2行目でOAuthフローを開始します。Claude Codeのセッション内では、Claude Code MCPドキュメントにある/mcpからOpenRouterサーバーを選択して認証することもできます。
接続テストには、「OpenRouter MCPを使い、コンテキスト長が128k以上の現行モデルを2つ挙げ、それぞれの入力価格を表示してください」のような読み取り専用の依頼が適しています。
Cursorでの設定
~/.cursor/mcp.jsonにリモートサーバーを追加します。
{
"mcpServers": {
"openrouter": {
"url": "https://mcp.openrouter.ai/mcp"
}
}
}
サーバーが表示されなければCursorを再読み込みしてください。認証はCursorのMCP設定画面、または最初のツール利用時に開始します。ドキュメントに記載されているCLIはcursor-agentで、次のコマンドで登録内容を確認できます。
cursor-agent mcp list
CursorのMCPドキュメントでは、ユーザーレベルとプロジェクトレベルの設定を説明しています。必要なスコープにエントリーを置き、個人用の認証設定は共有リポジトリへコミットしないでください。
Claude DesktopとClaude Webでの設定
ClaudeのコネクターディレクトリにOpenRouterがない場合、OpenRouterの接続ガイドではカスタムリモートコネクターの追加を案内しています。
- Settings > Connectors > Customize > Connectorsを開きます。
- +をクリックし、Add custom connectorを選択します。
- 名前に
OpenRouter MCPを入力します。 - リモートMCPサーバーURLとして
https://mcp.openrouter.ai/mcpを入力します。 - OAuthの項目は空欄のままコネクターを追加し、開いてConnectをクリックします。
- ブラウザでOpenRouterの承認を完了します。
組織によってはカスタムコネクターが無効化されています。管理対象アカウントでこの項目が表示されない場合は、管理者へ確認してください。クライアント側のプロトコル概念については、AnthropicのMCPドキュメントも参考になります。
実行してよい操作、注意すべき操作
公式OpenRouter MCPのツールの大半はライブ情報の照会です。全ツールを暗記するより、副作用の有無で分けておくほうが実用的です。
| ツールの分類 | 例 | 課金または副作用 |
|---|---|---|
| カタログとベンチマーク | list-models、get-model、list-benchmarks、list-daily-model-rankings | 読み取り専用の照会 |
| エンドポイントとルーティング | list-model-endpoints、list-providers | 読み取り専用の照会 |
| ドキュメントとアカウント | search-docs、get-credits、get-generation | 読み取り専用の照会 |
| テスト推論 | send-message | 課金対象のモデル呼び出し |
| 画像の試験生成 | generate-image | 課金対象の生成処理 |
| フィードバック | send-feedback | 自分の生成結果の1つにフィードバックを書き込む |
モデル選定では、判断基準を明示します。たとえば「ツール呼び出しに対応し、コンテキストウィンドウが64kで、最も低コストなモデルを探したうえで、最速の利用可能エンドポイントを表示してください」と指定します。ドキュメント化されているフィルターには、価格、最低コンテキスト長、モデルファミリー、作者、プロバイダー、モダリティ、対応パラメーター、ベンチマーク範囲、ツール呼び出し成功率、ゼロデータ保持の可否、リージョンがあります。
モデルテストを管理された形で行うには、スラッグを指定し、再現できるプロンプトにします。
OpenRouter MCPのsend-messageを、モデル "openai/gpt-4o" で使ってください。
次のユーザーメッセージを完全にそのまま送信し、システムプロンプトは追加しないでください。
"Return a JSON object with keys title and risks. Analyze this release note:
[paste text here]"
レスポンスと生成IDを表示してください。別のモデルは実行しないでください。
このスラッグは例示です。実際にはlist-modelsで利用可能と確認できたものを使ってください。監査可能な比較にするなら、根拠のないモデル推薦を受け入れるのではなく、照会ツール、返された値、生成IDを明示的に要求します。
OpenRouter MCPと公式プロバイダーMCPの使い分け
OpenRouter MCPは、複数プロバイダーをまたいだ調査とテストのレイヤーです。一方、あるプロバイダーの製品、アカウント、データプレーンに属する操作なら、通常はそのプロバイダーの公式MCPが向いています。
| 判断ポイント | OpenRouter MCP | 公式プロバイダーMCP |
|---|---|---|
| モデルの選定 | 1つのカタログで多数のプロバイダーのモデルを比較できる | 通常は単一プロバイダーのモデルやサービスが中心 |
| 価格とルーティング | プロバイダー横断で価格、エンドポイント、フォールバックを比較できる | そのプロバイダー自身のアカウントとルーティングルールを利用する |
| ドメイン固有の操作 | OpenRouterが公開するツールに限定される | プロバイダー所有のファイル、プロジェクト、ジョブ、アカウント操作に適している |
| 可搬性 | 1つのリモートエンドポイントを複数のMCPクライアントで利用できる | クライアント設定とプロバイダー側の対象範囲はサービスごとに異なる |
| 認証情報の境界 | 有効期限と上限を持つ専用のOpenRouter OAuthキー | プロバイダー固有のOAuthまたはAPI認証情報 |
| 本番アプリケーションのトラフィック | OpenRouter APIを継続して使う | プロバイダーAPIまたはサポートされている本番向け統合を使う |
「どのモデル、どの経路を使うべきか」が問いならOpenRouter MCP、「このプロバイダーのサービス内で何ができるか」が問いならファーストパーティーのプロバイダーMCPを選びます。両方の機能が必要なら、同じエージェントに接続することもできます。
コミュニティ製のローカルMCPサーバーやマルチモーダルMCPサーバーは、別のカテゴリです。OpenRouterのWorks With OpenRouterページでは、複数クライアントとテキスト、画像、音声、動画ワークフローに対応するサーバーが紹介されています。これにはOpenRouter APIキーとクレジットが必要であり、mcp.openrouter.aiの公式ホストサービスとは異なります。
実プロジェクトで押さえるべき境界
| 論点 | 実際の挙動 | 推奨アクション |
|---|---|---|
| アプリケーション統合 | MCPは開発時の調査・テスト向けであり、通常のプロダクトトラフィック向けではない | 本番コードからhttps://openrouter.ai/api/v1を直接呼び出す |
| 推論料金 | send-messageとgenerate-imageはMCPキーの上限を消費し得る。照会ツールは推論を実行しない | テストが済むまでデフォルト上限を維持し、承認を必須にして、各生成IDを確認する |
| ソースとプロンプトのデータ | OpenRouterのMCPドキュメントでは、ソースコードはデフォルトでは送信されないとされる。一方、課金対象の呼び出しに明示的に含めた内容は、選択したモデルへ届く可能性がある | テストに必要なテキストだけを送る |
| プロバイダーの選択 | 動的ルーティングでは、価格、レイテンシ、可用性の変化に応じて実際の処理プロバイダーが変わり得る | 再現性のある評価や必須のデータポリシーがある場合は、プロバイダーを固定する |
“@OpenRouter’s ori harness/cli has been a blessing... p.s: also thanks for openrouter mcp for quickly checking up info on models 🫰” — @CodewithP、X。モデル情報を素早く確認する用途についてのコメント。
OpenRouterのMCP cookbookでは逆方向の使い方も扱っています。つまり、コーディングクライアントをOpenRouter MCPへ接続するのではなく、ほかのMCPツールサーバーのLLMバックエンドとしてOpenRouterモデルを使う方法です。
最初の失敗で確認すること
- サーバーは表示されるが、ツールの認証に失敗する。 クライアントに応じたOAuth手順を再実行してください。専用キーの有効期間はドキュメント上7日間で、OpenRouterダッシュボードから切断することもできます。
- ブラウザが開かない。
claude mcp login openrouter、Claude Codeの/mcp操作、CursorのMCP設定、またはClaudeコネクターのConnectボタンを使ってください。 - Claude Desktopにカスタムコネクターの選択肢がない。 組織管理者によってカスタムコネクターが無効化されていないか確認してください。
- モデルに関する回答が古そうに見える。
list-models、list-benchmarks、list-model-endpointsを明示的に要求し、返された値も提示するよう求めてください。 - テストの料金が予想より高い、または想定外の経路に振り分けられた。
get-generationで生成IDを確認し、次の再現性テストではプロバイダーを明示的に固定してください。
FAQ
OpenRouter MCPでは、OpenRouterのどのモデルでも呼び出せますか?
ライブカタログで公開されているモデルスラッグを、可用性、機能、クレジット、ルーティングの制約に従ってテストできます。まずlist-modelsでスラッグを確認してください。
Claude Desktop、Cursor、Claude CodeでOpenRouter MCPを同時に使えますか?
各クライアントのドキュメントに沿った設定と認証フローを使えば、すべてのクライアントに同じ公式エンドポイントを追加できます。共有設定には個人の認証情報を含めないでください。
代わりにコミュニティ製のopenrouter-mcpパッケージを導入すべきですか?
公式ホストサーバーにないローカルstdioワークフローやマルチモーダルのオーケストレーションが必要な場合に限るべきです。導入前に、リポジトリ、認証情報の扱い、パッケージの配布元、メンテナンス状況を確認してください。
まずは読み取り専用のカタログ照会から始め、モデル、経路、支出の境界が明確になってから、管理された推論呼び出しを認可してください。