標準料金なら、500トークンの判定1回にかかる費用はわずか$0.00005です。大量処理のゲートとしては十分に安価ですが、重要な処理を任せても安全だという意味ではありません。返される確率が実際の正解率と対応するかどうかは、手元のラベル付きデータで検証する必要があります。
料金は1リクエスト単位ではなく、入力トークン単位
OpenAI Decisions APIの料金は、キャッシュされていない入力が100万トークンあたり$0.10で、出力トークンは無料です。現在、このエンドポイントは一般提供となっており、利用モデルはgpt-6-lunaのみ。エンドポイントはPOST /v1/decisionsです。詳しくは現行のDecisionsガイドで確認できます。
公開されている料金表には、リクエストごとの別料金は記載されていません。基本的な計算式は次のとおりです。
月額料金 = リクエスト数 × 平均請求入力トークン数 ÷ 1,000,000 × $0.10
1万、10万、100万リクエストでいくらかかるか
1リクエストあたりの平均入力が500トークンの場合は、次の金額になります。
| 月間リクエスト数 | 入力トークン数 | 標準入力料金 | 1リクエストあたり |
|---|---|---|---|
| 10,000 | 5 million | $0.50 | $0.00005 |
| 100,000 | 50 million | $5.00 | $0.00005 |
| 1,000,000 | 500 million | $50.00 | $0.00005 |
Predicate、choice、scoreの結果を返すだけなら、出力トークン料金はかかりません。一方、同等のResponses JSONを生成する場合は、モデルの出力料金が適用されます。OpenAIの料金表では、標準利用時のgpt-6-luna出力料金を100万トークンあたり$0.50としています。
キャッシュの読み書き、リージョン利用、長いコンテキストに注意
$0.10という数字だけを見て判断するのは早計です。現行ガイドによると、プロンプトキャッシュの読み取りには割引料金が適用され、キャッシュへの書き込みにはgpt-6-lunaの標準キャッシュ書き込み料金が使われます。OpenAIの料金表では、Lunaの標準キャッシュ入力の読み取りは100万トークンあたり$0.01、30分キャッシュへの書き込みは$0.125、12時間キャッシュへの書き込みは$0.25です。
キャッシュが有効になるのは、再利用する共有入力のプレフィックスが少なくとも1,024トークンある場合だけです。質問部分はこの最小値に含まれず、質問ごとの画像も再利用可能なプレフィックスの外側になります。プロンプトキャッシュの説明によれば、キャッシュの読み取りと書き込みはすでにusage.input_tokensへ含まれているため、別途足すと二重計上になります。
リージョン指定やデータレジデンシー対応のエンドポイントでは、対象となる新しいモデルに10%の割増が加わることがあります。さらに、公式の料金・提供地域の説明では、長いコンテキストに対する倍率が適用される可能性も示されています。コンプライアンス要件のある処理に導入する前に、最新の料金表を確認してください。単純な$0.10計算から外れる要因は、どちらも変わり得ます。
用途を絞った設計が特徴のエンドポイント
Decisions APIは、入力した根拠を3種類の型付き結果のいずれかに変換します。汎用的な回答生成APIを安くしたものではなく、分類とスコアリングに特化したエンドポイントです。
| 質問の種類 | 返される内容 | 向いている用途 | 向いていない用途 |
|---|---|---|---|
predicate | 0から1までの確率 | 不正検知ゲート、目立つ損傷の確認、関連性フィルター | 判定理由の文章生成 |
choice | 指定した選択肢の1つ、各選択肢の確率、信頼度 | キューの振り分け、文書カテゴリ、次のアクション | 未知のカテゴリや動的に生成されるカテゴリ |
score | 加重スコア、各レベルの確率、信頼度 | 深刻度、緊急度、リード品質 | 氏名、日付、任意フィールドの抽出 |
scoreで指定できる順序付きレベルは2から10個です。1回のリクエストには1から400個の質問を含められますが、同じリクエストにまとめるのは互いに独立した質問に限るべきです。質問2が質問1の回答に依存する場合、OpenAIは最初の回答を受け取ってから2回目のリクエストを送るよう案内しています。
独立した複数の質問なら、同じ根拠を使い回せます。たとえば1件のサポートチケットに対して、返金意図の有無、担当部署への振り分け、緊急度のスコアリングを、チケットを3回送り直すことなく実行できます。利用量のガイドによると、num_model_requestsが数えるのは質問数ではなくリクエスト数です。
パブリックベータ後に変わった点
現在のWhat's newには、ローンチ当初の制限から変わった点として次が挙げられています。
- 質問数の上限が200から400に増えた。
- 共有入力でプロンプトキャッシュを利用できる。
- 入力としてネイティブJSON、会話履歴、関数呼び出しの記録、対応するツール出力を扱える。
- 画像は公開HTTP/HTTPS URLまたはインラインbase64を利用できる。
file_id、音声、ファイル、アイテム参照は引き続き非対応。 - 組織単位の利用量レポートを
GET /v1/organization/usage/decisionsで取得できる。管理者キーとapi.usage.readが必要で、プロジェクト、APIキー、モデル単位で集計できる。
出力の契約でDecisionsとResponsesを選ぶ
アプリケーション側ですでに許容する回答形式が決まっているなら、Decisions APIが向いています。モデルに情報を組み立てさせるならResponses API、ツールの選択と引数の生成まで任せるならfunction callingを選びます。
| 要件 | まず選ぶもの | 理由 |
|---|---|---|
| 確率付きのYes/No判定 | Decisions | predicateの出力を標準で返し、生成回答の料金もかからない |
| 決められた候補から1つのルートを選ぶ | Decisions | 各選択肢の確率と信頼度を返す |
| 順序付きの基準で評価する | Decisions | 加重スコアと各レベルの分布を標準で返す |
| 任意のJSONフィールドを返す | Structured Outputs付きResponses | DecisionsにはカスタムJSON出力スキーマがない |
| 却下理由を説明する | Responses | Decisionsは説明文を生成しない |
| ツールを選び、引数を作成する | Function calling | Decisionsは回答を選ぶだけで、ツール引数は生成しない |
入力400トークンで月10万回呼び出す場合、Decisionsの入力料金は$4です。同等のResponses呼び出しで毎回30出力トークンを生成すると、Lunaの公開料金では入力$4に出力$1.50が加わり、推論トークンを除く前で合計$5.50になります。ただし、生成フィールドや説明文が必要かどうかで、選ぶべきエンドポイントは変わります。
現在はどちらのエンドポイントでも、キャッシュの読み取りに割引料金が適用されます。プロンプトの長さから推測するのではなく、レスポンスのusageオブジェクトに含まれるキャッシュヒットのトークン数を確認してください。
安くても、間違いの損失は小さくならない
トークン料金が安くても、誤った承認、誤ったモデレーション、決済先の間違いによる損失まで小さくなるわけではありません。OpenAIの回答解釈ガイドも、ラベル付きの事例を使ってしきい値を設定し、偽陽性と偽陰性それぞれのコストを考慮するよう勧めています。
この点は開発者コミュニティでも議論されています。意思決定APIについて扱った本番運用寄りのRedditスレッドで、u/Ctbhatiaは次のように書いています。
「間違った判定をするゲートより、スキップするゲートのほうがいい」 出典:r/LLMDevsのu/Ctbhatia
APIが返す信頼度や確率は参考値であって、公開されたキャリブレーション保証ではありません。信頼度0.90の結果が本当に90%の確率で正しいのかは、代表性のあるデータでその関係を測定するまで判断できません。
OpenAIは公式ガイドで、DecisionsはResponsesより約10倍高速だと説明しています。ただし、p50、p95、リージョン、ペイロードサイズ、比較時の設定は公開していません。レイテンシーの予算を決める前に、実際に使うリージョンでベンチマークを取りましょう。
本番導入の基本:キャリブレーション、保留、そして自動化
- 実際のワークロードから、曖昧なケースや失敗時の損失が大きいケースも含むラベル付きデータセットを作る。
- そのデータセットに同じ質問を実行し、しきい値を変えたときの偽陽性率と偽陰性率をグラフ化する。
- アプリケーション側に明示的な保留ルートを用意する。信頼度が低い結果や矛盾した回答は、無理に振り分けず人手確認へ送る。
GET /v1/organization/usage/decisionsでトークン使用量とリクエスト数を監視し、リリース後も自動処理の結果をサンプル監査する。
導入判断を一覧で確認
OpenAI Decisions APIは、既存のOpenAI環境で短い評価を大量に処理する場合の、範囲の明確なデフォルト候補です。料金が安いという理由だけで移行するべきではありません。
| ワークロード | 推奨 | 主な条件 |
|---|---|---|
| サポートやリードの振り分け | Decisionsを使う | カテゴリが固定され、ラベル付きの事例を用意できる |
| 画像による損傷スクリーニング | Decisionsを試す | 画像精度をベンチマークする。ホスティング画像URLに対応した |
| 長いポリシーと短い判定対象 | 両方をテストする | 実際のキャッシュヒットトークン数とレイテンシーを確認する |
| コンプライアンス処理や破壊的な操作 | Decisionsはゲートとしてのみ使う | 保留、人手確認、非対称なしきい値を必須にする |
| 抽出と説明の両方が必要 | Responsesを使う | 1回のリッチな呼び出しで、2回目の生成リクエストを避けられる場合がある |
| 引数付きのツール選択 | Function callingを使う | 出力の契約が実行するアクションに直接合っている |
| EUまたは規制対象のワークロード | Decisionsを検討する | 対象条件、データレジデンシー、リージョン割増を確認する |
OpenAI Decisions APIの料金FAQ
Decisions APIはリクエスト単位とトークン単位のどちらで課金されますか?
リクエスト数ではなく、入力トークン数に応じて課金されます。標準のキャッシュなし入力は現在、100万トークンあたり$0.10です。ただし、キャッシュやリージョン、長いコンテキストに関する追加条件が適用される場合があります。
Decisions APIの出力トークンは無料ですか?
はい。公式のDecisionsガイドでは、出力トークンは課金対象外と説明されています。
無料枠はありますか?
現在のOpenAI Decisionsドキュメントには、専用の無料枠は記載されていません。ただし、アカウントのクレジットや契約条件によって、組織が実際に支払う金額は変わる可能性があります。
Decisions APIでプロンプトキャッシュは使えますか?
はい。1,024トークン以上の共有入力プレフィックスが対象になり、OpenAIはデフォルトで共有入力の末尾に暗黙のブレークポイントを置くと説明しています。質問の内容と質問ごとの画像は、再利用可能なプレフィックスには含まれません。
DecisionsはResponses APIより安いですか?
生成テキストを必要としない、短く範囲の明確な分類であれば、通常は安くなります。ただし、Responsesの出力がごく短い場合は差が小さくなり、抽出や説明のために2回目の呼び出しが必要になるワークフローでは、差がなくなることもあります。
1回のリクエストに何個の質問を含められますか?
現在の上限は1から400個です。独立した質問は同じ入力を共有できますが、依存関係のある質問には別々のリクエストが必要です。
画像は対応していますか?料金はかかりますか?
はい。DecisionsはホスティングされたHTTP/HTTPS画像URLとインラインbase64画像に対応しており、画像入力も課金対象の入力使用量に含まれます。file_idによる画像参照には対応していません。
リージョン処理は割高になりますか?
割高になる可能性があります。OpenAIの料金ページでは、新しいモデルの対象リージョン利用およびデータレジデンシー対応エンドポイントに10%の割増を適用しています。導入前に、対象リージョンの最新料金を確認してください。