Claude Opus 5とOpus 4.8の比較:切り替え時に壊れるもの

最終更新日: 2026-07-25 05:17:23

同じプロンプトで、小さなコーディング・推論タスクを4件ずつ、各モデル1回だけ実行した。正答数はどちらも4件すべて。ところが出力トークン数は、Opus 5が81、94、407、600、Opus 4.8が36、35、103、206だった。出力100万トークンあたりの料金は同じ$25である。Claude Opus 5 vs Opus 4.8の移行で変わるのは、モデル名だけではない。コード上では1行の変更でも、請求額と挙動は変わる。

公式ドキュメントが示す理由は、能力差そのものではない。Opus 5ではthinkingがデフォルトで有効であり、4.8ではデフォルトで無効だった。同じリクエストでも、以前は発生しなかった推論コストがかかるようになる。そしてコストを最も動かす設定はモデルの選択ではなく、effortだ。すでに本番でclaude-opus-4-8を使っているなら、要点は次のとおり。

  • 明確なAPI破壊的変更が1つある。 thinking: {"type": "disabled"}xhighまたはmaxのeffortを組み合わせると、Opus 5では400が返る。Opus 4.8ではこの組み合わせを受け付ける。
  • 料金単価は変わらない。 両モデルとも100万トークンあたり入力$5、出力$25。支出が変わるのはトークン量が変わるときだけだ。
  • thinkingはデフォルトで有効。 max_tokensはthinkingと可視レスポンスの合計を引き続き制限する。4.8向けに調整した上限では、回答が途中で切れる可能性がある。
  • コード以上にプロンプトがリスクになる。 4.8に「再確認するように」と指示していたプロンプトは、Opus 5では過剰な検証を招きうる。
  • どちらも非推奨ではない。 両方ともActiveとして掲載されている。次のリリースサイクルまで4.8を維持する判断にも十分な根拠がある。
単一実行におけるタスク別出力トークン数の集合棒グラフ。バグ修正、厳密なJSON、推論、リファクタリングの各タスクで、Claude Opus 5は81、94、407、600トークン、Claude Opus 4.8は36、35、103、206トークン

モデルIDを差し替える前に確認したい5項目

Anthropicの移行ガイドでは、Opus 5を「同じ価格でClaude Opus 4.8からそのままアップグレードできるモデル」と説明している。APIの違いもほとんどなく、claude-opus-5は日付サフィックスなしの固定モデルIDで、claude-opus-4-8と同じ命名方式だ。ただし、本番ルートを切り替える前に5点は監査しておきたい。

1. thinking: {"type": "disabled"}xhighまたはmaxのeffortを併用すると400になる。 公式の挙動変更では、thinkingの無効化がeffortから独立していた4.8との破壊的変更とされている。検証はリクエストごとに行われるため、会話の途中でeffortを上げると、それまでのターンが通っていても拒否される。2. max_tokensにはthinking分も含まれる。 thinkingとレスポンスを合わせた総出力のハード上限である点は変わらない。thinkingを無効にしてmax_tokens: 4096で動かしていた4.8のジョブでは、同じ上限の中を推論トークンが消費する。Anthropicはxhighまたはmaxでは64kから始めることを推奨している。3. 検証を促す指示が逆効果になる。 Opus 5は指示されなくても自らの作業を確認する。プロンプトガイドによれば、「最後に検証ステップを入れる」といった指示は過剰検証を引き起こす。これらを削除すると「品質を落とさずに無駄なトークンを削減できる」という。早期アクセス利用者のAllie K. Millerも、effort設定の側面からこの問題に遭遇した。「私はしばしばreasoning effortをhighにするが、mediumまで下げる必要があった」と述べている。4. Skillsやエージェントの足場コードは、APIエラーなしに挙動が変わることがある。 Anthropicは、既存のClaude Opus 4.8向けプロンプトでもOpus 5は「そのままで良好に動作する」としている。一方で別の報告もある。EveryのDan Shipperはリリース当日に投稿し、「後方互換性が壊れる」「早く止まったり、指示を見落としたりすることが多い」と述べ、Skillsを一から作り直したという。あくまで1チームの経験談だが、評価を再実行すべき理由にはなる。ログに警告は出ない。5. Anthropicが示すOpus 5の知識カットオフは2026年5月。 4.8の2026年1月より新しい。システムプロンプトに「知識は2026年1月で終わるため、取得コンテキストを優先する」と固定で書いている場合、モデルの説明が誤ったものになり、その文字列を起点にした日付計算もずれる。

最初の項目には、もう1つ注意点がある。thinkingを無効化すると、Opus 5がtool_useブロックを出すべき場面で、ツール呼び出しを可視テキストとして書いてしまうことがある。また、内部XMLタグが漏れる場合もある。エージェントループでは、そのテキストが履歴に残り、後続ターンを汚染する。Anthropicが示す対策は、thinkingを有効に保ったまま、コスト制御には低いeffortを使うことだ。

公式Claude Platform DocsのWhat's new in Claude Opus 5ページのスクリーンショット。Behavior changesセクションに、Thinking on by defaultおよびDisabling thinking requires effort high or belowの見出しが表示されている

400になるリクエストと、回避する2つの方法

失敗する組み合わせを、自分のリクエストボディにそのまま当てられるdiff形式で示す。

# Rejected on claude-opus-5 with HTTP 400. Accepted on claude-opus-4-8.
  {
    "model": "claude-opus-5",
    "max_tokens": 16000,
    "thinking": { "type": "disabled" },
    "output_config": { "effort": "xhigh" }
  }

# Fix A - keep xhigh effort, let thinking run. Raise max_tokens, thinking counts against it.
  {
    "model": "claude-opus-5",
-   "max_tokens": 16000,
+   "max_tokens": 65536,
-   "thinking": { "type": "disabled" },
    "output_config": { "effort": "xhigh" }
  }

# Fix B - keep thinking off, cap effort at high or below.
  {
    "model": "claude-opus-5",
    "max_tokens": 16000,
    "thinking": { "type": "disabled" },
-   "output_config": { "effort": "xhigh" }
+   "output_config": { "effort": "high" }
  }

エージェント処理、複数ファイルにまたがる作業、ツールを多用するワークロードではFix Aが向く。ツール呼び出しの漏れが高くつく障害になるためだ。レイテンシ重視のエンドポイントや、形式が厳格な抽出処理ではFix Bを選びたい。xhighからhighへ下げても失うものが少ない。

切り替えで得られるもの

Opus 5は2026-07-24に登場した。Claude Opus 5 vs Opus 4.8でまず確認される2つの数字、入力$5/出力$25と100万トークンのコンテキストウィンドウは4.8から変わっていない。ローンチの詳細はClaude Opus 5のリリースと料金詳細で扱っている。移行に関わる差分は、もう少し限定的だ。

2026年7月25日時点で確認した仕様は以下のとおり。

Claude Opus 4.8Claude Opus 5利用側への影響
APIモデルIDclaude-opus-4-8claude-opus-51行の変更
100万トークンあたりの料金$5 / $25$5 / $25変更なし
コンテキスト1M1M、デフォルトかつ最大追加ティアへの切り替え不要
effortの段階xhighまで、デフォルトはhighlowからmaxまで、デフォルトはhigheffortの比較をやり直す
thinkingのデフォルト要求時のみ有効有効、適応型max_tokensを見直す
thinkingの無効化すべてのeffortで可能effort high以下high超では400
キャッシュ可能な最小プロンプト1,024トークン512トークン短いプロンプトもキャッシュ可能に
知識カットオフ2026年1月2026年5月カットオフの文言を更新

表以外にも変わる点は2つある。そのうちベンチマークに関するものは1つだけだ。

  • 短いプロンプトもキャッシュできる。 最小長が1,024トークンから512トークンへ下がる。4.8ではキャッシュできなかった600トークンのシステムプレフィックスも、Opus 5ではヒット時に100万トークンあたり$0.50となる。通常入力の$5と比べると安い。ただし5分エントリの書き込み価格は100万トークンあたり$6.25なので、元を取るにはプレフィックスを再利用する必要がある。
  • 性能についてはベンダー公表値しかない。 Anthropicの発表には独立再現のない相対値が載っている。Frontier-Bench v0.1では、タスクあたりのコストを抑えつつOpus 4.8の「2倍超」。CursorBench 3.2では、Fable 5のピークから0.5%以内で、コストは半分とされる。より参考になるのは明示された弱点で、サイバーセキュリティと生物学ではMythos 5に後れを取る。

今回の4タスクでは両モデルとも全問通過したため、能力の上積みは見えなかった。一方で、規模の小さい仕事でもトークン増加は見えた。

料金単価が同じなら、差が出るのはトークン量

両モデルの出力料金は100万トークンあたり$25。したがって、リスト価格の単一チャネルにおけるClaude Opus 5 vs Opus 4.8のコスト差は、同じ仕事にどちらが何トークン出力するかだけで決まる。4タスク合計ではOpus 5が1,182トークン、Opus 4.8が380トークン。比率は3.1倍で、約3.0セント対0.95セントだった。

ただし、この数値には3つの制約がある。

  • 各タスク・各モデル1回ずつ、2026-07-24に実行した。ベンチマークではなくスモークテストだ。
  • 両者ともデフォルト設定。effortの指定、thinkingフィールド、システムプロンプトはいずれも使っていない。
  • ゲートウェイが一部のモデルファミリーでプロンプトトークン数を大きく不整合に報告したため、集計したのは出力トークンだけ。絶対額は小さく、スケールするのは比率だけだ。

しかも傾向は一様ではない。上の2タスクを、ゲートウェイではなくClaude Codeのファーストパーティチャネルでも再実行した。

実行Opus 5Opus 4.8
リファクタリング、ファーストパーティ429 tok220 tok
バグ修正、ファーストパーティ36 tok63 tok
バグ修正、ゲートウェイ(上のグラフ)81 tok36 tok

3件のうち1件では、Opus 5のほうが少なかった。Anthropicは推論段階の上位設定では逆方向の数字を示しており、法律業界のパートナーがmax reasoningで平均26%少ないトークンだったとしている。ただし、方法論は公開されていない。

この2つの傾向は両立する。thinkingがデフォルトで動き、Opus 5の応答も長くなれば、推論が純粋なオーバーヘッドになる処理では出力が増える。一方、複数ファイル作業では同じ推論がリトライループを置き換え、呼び出しあたりのトークン数が増えても、完了タスクあたりのトークン数は下がりうる。どちらのデータセットもそれを直接測ってはいない。予算は自分たちの「受理されたタスクあたりのコスト」で組み、モデルではなくeffortをレバーとして扱うべきだ。

  • まずeffortを下げる。 Anthropicによれば、Opus 5のlowmediumは、以前のOpusモデルの同じ設定をトークンの一部で上回る。コーディングとエージェント作業の出発点としては、引き続きxhighが推奨されている。
  • 引き継いだデフォルトを監査する。 分類エンドポイントに持ち越したxhighは、品質向上なしに請求額を膨らませる最も高価な設定になりかねない。
  • それでも高いならティアを見直す。 同じ予算でのOpus 5とSonnet 5の比較は、より安い選択肢になる。

今四半期にOpus 4.8を維持すべきケース

この四半期に4.8を選ぶ理由は4つある。

  • Priority Tierの契約がある。 移行ガイドによれば、Priority TierはClaude Opus 5ではサポートされず、Opus 4.8では利用できる。レイテンシ保証のために予約容量を購入しているなら、移行はそれを手放すことを意味する。技術判断ではなく調達判断だ。
  • thinking無効のままhigh超のeffortが必要な統合がある。 評価でxhighの推論とthinkingなしの出力が両方必要なら、現時点で両方を満たすのは4.8だけだ。
  • 再テストできないほど調整済みのSkillsがある。 別モデル向けに書かれたプロンプトで動く移行途中のOpus 5レーンより、固定した4.8レーンのほうが安全だ。
  • コスト圧力があり、リレー経由で使っている。 OpenAI互換のサードパーティゲートウェイでは、旧モデルが大幅に値引きされることがある。AIReiterのAnthropicモデル一覧では、Opus 4.8は100万トークンあたり入力$1.56/出力$7.76で、リスト価格より約69%安い。claude-opus-5はまだ追加されていない。アクセスチャネルが変われば価格同一という前提は成り立たない。4.8ですでに要件を満たすなら、正しく動く中で最も安いモデルを選べばよい。全モデルをタスク別に比較した内容はコーディングに最適なClaudeモデルで確認できる。

早期終了への恐れは、4.8を維持する理由には入らない。Anthropicのモデル非推奨ページでは、2026年7月25日時点で両モデルはDeprecatedではなくActiveだった。つまり、どちらにも終了予定は設定されていない。暫定的な最短終了日は4.8が2027年5月28日、Opus 5が2027年7月24日だ。

切り戻し可能なまま進めるロールアウト手順

1. 最初に4.8のベースラインを固定する。 実リクエスト20〜50件で出力トークン、レイテンシ、通過率を記録し、最低ラインとする。ばらつきの大きいエージェント作業ではさらに多く必要で、4.8が現在失敗しているケースも含める。記録がなければ、回帰と単なる差異を見分けられない。2. デプロイ前にGrepする。 effortの近くにある"disabled"、16k未満のmax_tokens値、システムプロンプト内の「verify」「double-check」「January 2026」を検索する。4つの検索で、破壊的変更1つと静かな変更3つをカバーできる。3. 全体切り替えではなく、1レーンで動かす。 トラフィックの一部だけをclaude-opus-5へルーティングする。モデルIDはコード中に散在させず設定に置けば、切り戻しはデプロイではなく設定変更で済む。4. レーン公開前に数値の昇格条件を決める。 通過率は4.8のベースライン以上、スキーマ有効率とツール呼び出し準拠率も同等以上、受理タスクあたりのコストは事前に決めた上限以下、p95レイテンシはSLO内、400エラー率はゼロ。1つでも満たさなければ設定をclaude-opus-4-8へ戻す。5. リクエストしたモデルと実際に返ったモデルを分けて記録する。 Opus 5のサイバーセキュリティ分類器は、サーバーサイドフォールバックを有効にすると、拒否したリクエストをOpus 4.8へルーティングできる。ダッシュボードでOpus 5に見える実行でも、実際には4.8が処理した可能性がある。

大半のチームにとって、Claude Opus 5 vs Opus 4.8の結論は移行になる。ただし、この順序で進め、1リリースサイクル内に行い、自分たちの4.8ベースラインに対してステップ4の条件を通過したものだけを昇格させる。Anthropic自身のガイドどおり、初日に既存の検証プロンプトを外そう。トークン増が請求額へ変わるのは、まさにそこだ。

FAQ

Claude Opus 5はOpus 4.8のドロップイン置き換えですか?

Anthropicの移行ガイドは、同価格のドロップインアップグレードと説明している。APIレイヤーではおおむねそのとおりだ。同じコンテキストウィンドウ、同じ128kの出力上限があり、確認すべき破壊的変更は1つだけ。ただしプロンプトレイヤーでは別だ。検証指示、effortのデフォルト、max_tokens上限、4.8向けに調整したSkill定義はすべて見直す必要がある。しかも、それらはエラーで知らせてくれない。

Opus 5のリクエストで400エラーが返るのはなぜですか?

最も可能性が高いのは、thinking: {"type": "disabled"}xhighまたはmaxのeffortを一緒に送っているケースだ。Opus 5はこの組み合わせをすべてのリクエストで拒否する。thinkingフィールドを外してeffortを維持するか、thinkingを無効のままeffortをhigh以下に下げる。デフォルト以外のtemperaturetop_ptop_kも、4.7以降のすべてのClaudeモデルで毎回400になる。

Claude Opus 4.8は提供終了になりますか?

いいえ。Anthropicの非推奨ページではclaude-opus-4-8はActiveとして掲載されており、暫定的な最短終了日は2027年5月28日だ。公開済みモデルには少なくとも60日前に通知する方針もある。また、Opus 5のサイバー分類での拒否時にはフォールバック先として残り、Opus 5にないPriority Tierのサポートも維持している。

現時点で最も良いClaude Opusモデルはどれですか?

Anthropicが公表した数値と初期の開発者レポートを基準にするならClaude Opus 5だ。とくにエージェント型コーディングと長期的なタスクでの改善が明確とされる。一方で、Priority Tierのワークロード、high超のeffortでthinking無効を必要とする統合、まだベースラインを取り直せないプロンプトスタックでは、Opus 4.8のほうが適している。

Claude CodeとClaudeアプリでOpus 5へ切り替えるには?

Opus 5はClaude Maxの新しいデフォルトであり、Claude Proでは最上位モデルとして提供される。Claude Code、Claude Cowork、claude.aiのほか、Amazon Bedrockではanthropic.claude-opus-5として、Google CloudとMicrosoft Foundryでも選択できる。

Claude Codeのデフォルトeffortはhighで、推論の深さは手動のextended-thinkingトグルではなくeffortで設定するようになった。これらの画面ではOpus 4.8も引き続き選択できるため、APIコードを触らずにロールバックできる。

Claude Opus 5はOpus 4.8より高額ですか?

トークン単価は同じだ。両モデルとも100万トークンあたり入力$5/出力$25、Batch APIでは$2.50/$12.50、キャッシュヒットでは100万トークンあたり$0.50となる。ただしタスク単位では異なる。今回の単発テストでは、Opus 5の出力トークン数はおよそ3倍だった。そのため、リスト価格が同じでも請求額は高くなりうる。約2.5倍の速度となるFast modeは$10/$50で、Claude API専用だ。