Grok 4.6:SpaceXAIが確認したこと、まだ不明なこと

最終更新日: 2026-07-27 11:00:07

Grok 4.6という名称が初めて確認されたのは、わずか3語の返信だった。2026年7月18日、Elon Muskが先に触れていた2兆パラメータのモデルについて「Grok 4.6か」と問われ、「Yeah, Grok 4.6」と答えた。その6日後には投入時期にも言及している。一方、2026年7月27日時点でSpaceXAIの公式チャネルから確認できる発言はこの2件だけで、モデル名とともに広まっている性能数値の多くはGrok 4.6ではなくGrok 4.5のデータだ。

Elon MuskがGrok 4.6について明かした内容

公式リリースではなく、6日間隔で投稿された2件の発言が現時点での根拠となる。

7月18日、Muskは@minchoiへの返信で次のように述べた。「Our 2T model, which is better than our 1.5T in every way, will finish initial training next week. It might be able to exceed Kimi, but with speed and token efficiency close to our 1.5T (aka Grok 4.5).」この時点ではモデル名を出していなかったが、Andrew CurranからGrok 4.6なのかと問われ、先述の返信で認めている。

1.5TのGrok 4.5よりあらゆる面で優れる2Tモデルについて説明し、3語の返信でGrok 4.6という名称を認めるElon MuskのXスレッド

伝言ゲームの中で抜け落ちがちな点が2つある。Muskが挙げたのは「Kimi」であって「Kimi K3」ではない。Moonshotの現行フラッグシップを指すと読むのは自然だが、本人の発言そのものではない。また、速度とトークン効率の比較対象はKimiではなくGrok 4.5だ。

続く7月24日には、「Grok 4.6 in 2 weeks and Grok 4.7 in 4 weeks」と時期を示した。この日付から2週間後は8月7日ごろになる。この投稿も返信であり、親投稿の文脈は見落とせない。直前にMuskはFrontierCode 1.1のスコア対コストのチャートを投稿し、「Grok 4.5 and Opus 5 are alone on Pareto frontier」と主張していた。スケジュールの発言は、コスト効率をめぐるスレッド内での回答だった。

Grok 4.6は2週間後、Grok 4.7は4週間後と述べ、FrontierCodeのパレートフロンティア図表への返信となっているElon MuskのX投稿

ここから公式に確認できるのは、次の4点だ。

  • 規模:総パラメータ数は約2兆。Grok 4.5の1.5T V9 foundationから増える
  • 性能目標:MoonshotがK3を総パラメータ数2.8TとしているKimiを上回る可能性
  • 条件:速度とトークン効率はGrok 4.5に近い水準
  • 時期:7月24日からおよそ2週間後、つまり8月上旬

アーキテクチャは未公表だ。2TがDenseモデルなのかMixture-of-Expertsなのか、1トークンあたりで有効になるパラメータ数はいくつか、V9を拡張するのか置き換えるのか。いずれもSpaceXAI以外には分からない。パラメータ数が33%増えてもスループットを保てるという主張は、こうした詳細が明らかになって初めて評価できる。

Grok 4.6はまだSpaceXAI APIにない

検索時に混乱しやすい名称について先に整理しておこう。Grokを開発する企業は2023年にxAIとして設立され、2026年にSpaceX傘下へ入った後、現在はSpaceXAIを名乗っている。ドキュメントのタイトルは「SpaceXAI Docs」で、Grok 4.5の発表では「SpaceXAI's smartest model」と表現され、Artificial Analysisでも提供元はSpaceXAIとなっている。ただしドメインは変わっていない。x.ai、docs.x.ai、api.x.aiはいずれも現在も有効で、モデルIDも従来どおりだ。

SpaceXAIのモデルドキュメントでは、Grok 4.5がサイドバーでLatest、本文でNewと表示されている。grok-4.6の項目はない。

500Kコンテキスト、入力$2.00、出力$6.00のGrok 4.5がLatestとして表示されたSpaceXAI開発者ドキュメント

2026年7月27日時点でドキュメントに掲載されているテキストモデルは6つだ。

モデルIDコンテキスト入力 / 1M出力 / 1M
grok-4.5500K$2.00$6.00
grok-4.31M$1.25$2.50
grok-4.20-0309-reasoning1M$1.25$2.50
grok-4.20-0309-non-reasoning1M$1.25$2.50
grok-4.20-multi-agent-03091M$1.25$2.50
grok-build-0.1256K$1.00$2.00

この料金は200Kコンテキスト未満の場合だ。リクエストが200Kトークンを超えると、リクエスト全体に対して料金が2倍になる。したがって、210KトークンのGrok 4.5呼び出しでは、入力は100万トークンあたり$4.00、出力は$12.00となり、2つの料金帯を混ぜて計算するわけではない。

現時点で、Grok 4.6へのアクセスを裏付ける公開のSpaceXAIドキュメントや公開モデルIDはない。販売者が正確なSpaceXAIモデルIDと日付入りのAPIレスポンスを提示しない限り、第三者による提供は未検証として扱うべきだ。本番ルーティングの判断は明快である。モデルIDが登場するまで何も変わらず、現在の選択肢はGrok 4.5のままだ。

Grok 4.6の性能として出回る数値は、すべてGrok 4.5のもの

新モデルの検索結果では、次の5つの数値を繰り返し見かける。しかし、どれも前世代のGrok 4.5について公開された情報だ。

数値実際に指しているモデル
毎秒80トランザクションGrok 4.5、SpaceXAIによるローンチ時の主張
SWE Marathonで29.0%、Claude Opus 4.8の26.0%を上回るGrok 4.5、SpaceXAIによるローンチ時の主張
100万トークンあたり入力$2/出力$6Grok 4.5、現在のAPI価格
500KのコンテキストウィンドウGrok 4.5
1.5兆パラメータ、V9 foundationGrok 4.5

Grok 4.6について、SpaceXAIは価格、コンテキストウィンドウ、ベンチマークスコア、モデルID、Vision・Audio・オープンウェイトに関する情報を何一つ公開していない。

独立測定で見るGrok 4.5の基準値

Grok 4.6はGrok 4.5との比較で評価されることになる。ローンチ前に実用的な判断材料となるのは、前世代について測定済みの数値だけだ。

毎秒80トランザクションは、毎秒80トークンではない

この2つは別の指標だが、しばしば同じもののように引用される。トランザクションは完了したリクエスト数を指す。一方、出力トークン/秒は単一レスポンス内での生成速度だ。平均レスポンス長が分からなければ、両者を換算することはできない。

Artificial Analysisによると、Grok 4.5の高推論設定での出力速度は毎秒58.3トークンで、190モデル中102位。同価格帯モデルの中央値である73.0 t/sを下回る。最初のトークンが出るまでの時間は8.31秒で、中央値の2.80秒に対して遅い。これらは2026年7月27日に確認したスナップショット値であり、リーダーボードは継続的に再テストされ、新モデルの追加に応じて順位も変動する。

Grok 4.5の測定済み出力速度58.3トークン/秒と、同価格帯モデルの中央値73.0を比較した棒グラフ

一方、知能面ではGrok 4.5は存在感がある。同じ指標でスコア54、190モデル中13位であり、同等価格帯の中央値32を大きく上回る。出力価格は中央値の$10.00未満。賢いが、応答開始は遅く、生成速度も速くはないモデルというプロファイルだ。

Grok 4.5自体についても、リリース日として2つの日付が流通している。Artificial Analysisは2026年7月8日としているのに対し、SpaceXAIの発表ページと当時の報道では7月16日となっている。

Grok 4.6が超えるべきコスト水準

Grok 4.5のキャッシュ済み入力は100万トークンあたり$0.30で、通常の入力料金$2.00から85%安い。長いシステムプロンプトを繰り返し使うエージェントループでは、ここが効いてくる。Artificial Analysisは独自の算定方法で、キャッシュヒット・非キャッシュ入力・出力を7:2:1で配分した場合のブレンド料金を100万トークンあたり$1.35と報告している。

Grok 4.5の200K未満と200K以上のコンテキスト料金帯について、キャッシュ済み入力、入力、出力料金を並べた棒グラフ

SpaceXAIが2Tでもこの料金を維持できるかどうかは、親投稿にあったパレートフロンティアの主張が後継モデルでも成り立つかを左右する要素の1つになる。ベンチマークスコア、レイテンシ、コンテキストも同様にこの線を動かすが、4.6についてはいずれも未公表だ。

「2TでGrok 4.5並みの速度」が簡単ではない理由

文字どおりに受け取れば、条件はそれほど強いものではない。Grok 4.5はすでに同価格帯の生成速度中央値を下回り、最初のトークンを返すまでの時間も中央値のほぼ3倍かかる。2Tでこの水準を保つというのは、速度記録を守ることではなく、「遅いが安価」という特性を維持することを意味する。

ただし競合目標との比較では難度が上がる。もっとも、見出し上のパラメータ差ほど単純な話ではない。Moonshotによれば、Kimi K3は総パラメータ数2.8Tの疎なMixture-of-Experts設計で、1トークンあたり896エキスパート中16を有効化する。そのため推論時のコストは2.8T全体ではなく、アクティブな部分に左右される。SpaceXAIはGrok 4.6の2TがDenseかSparseかを明かしておらず、まさにこの情報がなければ両者の数字は比較できない。K3は1Mトークンのコンテキスト、オープンウェイト、100万トークンあたり入力$3・出力$15を掲げるのに対し、Grok 4.5は500K、クローズドウェイト、$2/$6だ。

Grok 4.5の1.5T、未リリースのGrok 4.6の2T、Kimi K3の2.8Tという総パラメータ数を比較した棒グラフ

いずれの優劣も測定では示されていない。Grok 4.6はSpaceXAIからも第三者からもベンチマークされていない。

Grok 4.6の正式提供を確認する方法

確認は、まずドキュメント、次にライブエンドポイントの順で進めればよい。

1. docs.x.ai/developers/modelsにgrok-4.6の項目が追加される。専用のコンテキストウィンドウと価格行が掲載されるはずだ。2. APIのモデル一覧が新しいIDを返す。次の1リクエストで確認できる。

curl https://api.x.ai/v1/models \
  -H "Authorization: Bearer $XAI_API_KEY" | grep grok-4.6

IDが返ればモデルの存在は確認できる。ただし、自分のアカウントに利用権限があることまでは保証しない。実際にルーティングへ組み込む前に、自分のキーでレート制限と料金を確認しておきたい。

3. SpaceXAIがベンチマーク数値を含むモデルカードを公開する。ベンダーのベンチマークは最低ラインとして捉え、ルーティングルールを書き換える前に第三者評価を待つべきだ。

API以外の提供先については発表されていない。SpaceXAIの公開プランには無料枠、SuperGrok、Business、Enterpriseが含まれる。Grok 4.6も4.5と同じようにAPIと並行して展開されると予想するのは自然だが、SpaceXAIの確約ではない。

本番ルーティングの判断は急がなくてよい。Grok 4.5は既知の価格とコンテキストウィンドウを持つSpaceXAIの現行フラッグシップであり、Musk自身のチャートでもClaude Opus 5と並んでコスト対スコアのフロンティア上に置かれている。ただし、計画の話は別だ。Q4の推論予算を組む、あるいは契約を交渉するなら、8月上旬に2Tモデルが未知の価格で登場する可能性は織り込んでおく価値がある。なお、この「2週間」はMusk自身が設定したスケジュールでもある。

FAQ

Grok 4.6はいつリリースされる?

公式な日付はない。Muskは2026年7月24日、Grok 4.6を約2週間後、Grok 4.7をその約2週間後に投入すると述べたため、4.6は8月7日ごろとなる。SpaceXAIは自社チャネルでローンチ日を発表していない。

Grok 4.6のパラメータ数は?

2026年7月18日のMuskの発言によれば、総数は約2兆。Grok 4.5はV9 foundationで1.5Tだ。Grok 4.6がDenseかMixture-of-Expertsか、1トークンあたり何パラメータを有効化するかは明かされていない。

Grok 4.6 APIの料金はいくら?

未発表。Grok 4.5は200Kコンテキスト未満で、100万入力トークンあたり$2.00、100万出力トークンあたり$6.00。200Kを超えると2倍になり、キャッシュ済み入力は$0.30だ。SpaceXAIが実際の価格を公開するまで、これらの料金を計画上の妥当な基準値として扱うことになる。

Grok 4.6はKimi K3より優れている?

誰も検証していない。Muskは2Tモデルが「might be able to exceed Kimi」としつつ、速度とトークン効率はGrok 4.5に近いと述べたが、K3を名指ししたわけではない。MoonshotによればK3は総パラメータ数2.8T、1トークンあたり896エキスパート中16を有効化する。SpaceXAIはGrok 4.6のアーキテクチャを公開していないため、現時点で両者のパラメータ数を比較することはできない。

Grok 4.6はAndroidとiOSでも使える?

発表はない。GrokアプリにはSpaceXAIの現行モデルが搭載されているため、モデル提供後のアプリ展開は想定される経路だが、時期は示されていない。地域ごとの提供時期も別問題である。Grok 4.5の欧州連合での提供は2026年7月13日時点でまだ保留と報じられており、SpaceXAIは4.6を初日からグローバル展開するかについて明かしていない。

Grokを開発しているのはxAI、それともSpaceXAI?

両方とも同じ会社を指す。2023年にxAIとして設立され、2026年にSpaceX傘下へ移った後、現在はSpaceXAIをブランド名としている。Grok 4.6はSpaceXAIのモデルだ。x.aiドメインとgrok-*のモデルIDは名称変更されていない。

現在の最新Grokモデルは?

Grok 4.5だ。2026年7月にリリースされ、7月27日時点のSpaceXAIドキュメントではLatestと表示されている。500Kのコンテキストウィンドウ、設定可能な推論、テキストおよび画像入力を備える。

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*価格とモデル提供状況は、2026年7月27日にSpaceXAIのドキュメントで確認した。*