Claude Opus 5はClaude Fable 5の半額だ。それでいてAnthropicが公開したローンチ時の数値では、max effort時のCursorBench 3.2最高スコアとの差は0.5%以内に収まっている。
OSWorld 2.0でも、Fable 5の最高結果をタスク当たりおよそ3分の1のコストで上回るとされる。いずれもベンダー報告値であり、独立した追試はまだない。それでもFable 5の定価は、全項目でちょうど2倍のままだ。
| 100万トークン当たり | Claude Fable 5 | Claude Opus 5 | 比率 |
|---|---|---|---|
| 入力 | $10 | $5 | 2.0x |
| 出力 | $50 | $25 | 2.0x |
| キャッシュ書き込み、5分 | $12.50 | $6.25 | 2.0x |
| キャッシュ読み取り | $1 | $0.50 | 2.0x |
| Batch API | $5 / $25 | $2.50 / $12.50 | 2.0x |
価格は2026年7月25日にAnthropicの料金ページで確認した。つまりClaude Opus 5 vs Fable 5で問うべきことは一つだけだ。どんなワークロードなら、この2倍の支払いを回収できるのか。
先に結論を言えば、Fable 5はOpus 5よりおよそ60%高い確率で成功しなければならない。基本はOpus 5、Fable 5は例外的に使うモデルという位置づけになる。
価格差は正確に2.0倍。ただし比率が崩れる3つの場面
トークナイザーによるトークン増加を、単価差に上乗せしてはいけない。モデル概要によると、Opus 4.7で導入されたFable 5のトークナイザーは、Opus 4.7より前のモデルと比べて「およそ30%多くのトークン」を生成する。Opus 5も4.7以降のモデルなので、両者に同じ増加がかかる。価格差は2.6倍ではなく、2.0倍のままだ。
ただし、次の3つでは単純な比率がそのまま当てはまらない。
- Opus 5のfast modeは$10 / $50で、Fable 5の標準料金と同額。同じ支出なら、Fable 5の能力と、出力トークン毎秒が最大およそ2.5倍のOpus 5を比べることになる。対象はClaude APIのみだ。
- Batch APIのFable 5は$5 / $25で、Opus 5の通常定価と同じ。レイテンシを許容できる処理なら、最上位モデルを標準モデルの同期リクエスト定価で使える。Batch同士で比較すれば2倍差は維持されるため、これは値引きではなく課金モードの裁定だ。
- Fable 5のキャッシュ読み取りは$1、Opus 5は$0.50。同条件なら比率は2倍のままだが、Fable 5のキャッシュ読み取りはOpus 5で新規入力を読む費用の5分の1に過ぎない。キャッシュ中心のループでは、絶対額の差が小さくなる。
4タスクで実測:Fable 5は少ないトークンで、なお高かった
2026年7月24日、機械採点できる4タスクを各モデルで1回ずつ実行した。内容は、2つの不具合を含むkth_smallestの修正、厳格なJSONスキーマ、フロベニウス数の問題(7と12のパック、答えは65)、コメントなしのリファクタリングと検証だ。両モデルとも4件中4件を通過した。
| タスク | Opus 5の出力 | Fable 5の出力 | 経路 |
|---|---|---|---|
| 2不具合のバグ修正 | 36 tok / 4.52s | 69 tok / 5.61s | Claude Code |
| 厳格なJSONスキーマ | 94 tok / 4.8s | 86 tok / 4.4s | Gateway |
| フロベニウス数(65) | 407 tok / 6.8s | 358 tok / 7.3s | Gateway |
| リファクタリング、コメントなし | 429 tok / 6.93s | 251 tok / 8.09s | Claude Code |
| 合計 | 966 tok / 23.05s | 764 tok / 25.40s | |
| 定価での出力コスト | $0.024 | $0.038 |
Fable 5の出力トークンは21%少なかったにもかかわらず、出力単価が2倍のため、1回当たりのコストは約1.6倍だった。安いOpus 5のほうが冗長で、Fable 5のトークン節約で取り戻せたのは自身のプレミアムの半分未満にとどまる。
ドキュメント上の速度評価は、Opus 5が「Moderate」、Fable 5が「Slower」だ。今回もFable 5は4タスク中3タスクで遅かった。
この数値には3つの注意点がある。
- 各モデル・各タスクで1回のみ、デフォルトeffort、機械採点での測定だ。ベンチマークではなくスモークテストに過ぎない。
- 公式料金で出力トークンだけを計算している。同一プロンプトでもゲートウェイが返す入力トークン数には大きなばらつきがあり、実際の請求には入力とキャッシュの費用も加わる。
- トークン数は品質ではなくthinking設定にも左右される。Opus 5は
higheffortでthinkingがデフォルト有効であり、Fable 5の常時有効なadaptive thinkingは短い2タスクで出力量を抑えた。
合計値には複数の経路が混在している。OpenAI互換ゲートウェイ経由では、Fable 5がコード系2タスクで空のcompletionを返し、それが3回連続したため、その行はClaude Codeのファーストパーティー経路で測定した。これはFable 5のコーディング能力を示す現象ではなくルーティング障害だが、スタックにリレーを挟んでいるならヘルスチェックの対象になる。
損益分岐点はどう計算するか
見るべき単位はトークン単価ではない。完了タスク当たりの期待支出で判断する。
expected cost per success = cost per attempt / first-pass success rate
成功率をpとすると、成功までの試行回数の期待値は1/pなので、この式にはリトライもすでに織り込まれている。両モデルを等しいと置き、共通項を消せば、Claude Opus 5 vs Fable 5は次の不等式に帰着する。
success_rate(Fable 5) / success_rate(Opus 5) >= cost_per_attempt(Fable 5) / cost_per_attempt(Opus 5)
両者が同じトークン数を出すなら右辺は2.0、今回の出力構成なら1.58だ。出力コストだけで見た実用的な閾値は1.6と考えてよい。Fable 5は、プレミアムを回収するためにOpus 5よりおよそ60%高い確率で成功する必要がある。入力比率やキャッシュ比率が高いワークロードでは、この値は再び2.0xへ近づく。
| Opus 5の初回成功率 | Fable 5に必要な成功率 |
|---|---|
| 30% | 47% |
| 40% | 63% |
| 50% | 79% |
| 60% | 95% |
| 63% | 100% |
| 70% | 到達不能 |
判断を左右するのは下2行だ。Opus 5の初回成功率が約63%を超えると、Fable 5は成功率100%を超えられない以上、能力差がどれほどあっても完了結果当たりでは安くならない。一般的な2.0x比率であれば、この上限は50%まで下がる。
つまりFable 5の経済合理性は、Opus 5が失敗するタスクに限られる。これは、固定予算でのコーディングに最適なClaudeモデルが、ラインアップ最上位とは限らない理由でもある。この閾値は3つの前提に立っており、どれか一つでも崩れるとFable 5有利に動く。
- 試行は独立している。
- 失敗を安価に検出できる。
- 失敗のコストはリトライ1回分を超えない。
この計算で扱えない懸念は、プレミアムを払ったモデルのほうが先に置き換えられるかどうかだ。モデル廃止ページでは、どちらもActiveとされている。
claude-fable-5の終了は「June 9, 2027より早くない」。claude-opus-5の終了は「July 24, 2027より早くない」。
Anthropicは少なくとも60日前に通知するとしており、これらの期限下限はAnthropic運営プラットフォームだけに適用される。これは生き残るモデルへの賭けではなく、成果当たりのコストをどう選ぶかという話だ。
2倍を払う意味があるケース
プレミアムを正当化できるのは、主に3つのケースだ。
- 失敗を安く検出できない処理。テストスイートがあれば
1/pの計算は素直に成立する。一方、8時間の処理が6時間目に失敗する場合はそうではない。無駄になった計算コストに加え、エンジニアが状況を復元するコストも発生する。AnthropicがFable 5を想定するのはここで、「最も要求の厳しい推論と長期的なエージェント作業のために構築された」と説明している。 - 成果物の価値がトークン費用を大きく上回る場合。R&D Worldは、Stripeが5000万行のRubyコードベースを1日で移行したと報じている。成果と支出の比率がそこまで大きければ、トークン当たりの料金はもはや主要変数ではない。
- 保証されたキャパシティが必要な場合。Priority TierはFable 5とOpus 4.8を対象とし、Opus 5は対象外だ。このためOpus 5を指定したリクエストは検証に失敗する。2倍で安価なモデルにないものを買える唯一の軸だが、すでに契約を持つ組織に限られる。
割に合わないケースと、越えられない2つの壁
ゼロデータ保持は料金の問題ではなく、利用可否の壁だ。Fable 5とMythos 5は指定Covered Modelsとして30日保持の対象で、ZDRでは利用できない。ZDR組織では予算に関係なく、Fable 5の全リクエストが400 invalid_request_errorになる。Opus 5にはこの制限がない。
セキュリティに近いコーディングでは、プレミアムを払っても体験が悪くなる。Fable 5の復帰とともに導入された分類器は、Anthropicの表現によれば「通常のコーディングやデバッグ作業で無害なリクエストをより頻繁にフラグするというコストを伴う」。ブロックされたリクエストはOpus 4.8へルーティングされ、ストリーミング途中の拒否では、何も得られないまま配信済みの一部に課金される。この負担を示す外部測定は2つある。
- R&D WorldのTerminal-Benchの内訳:試行の20.9%で安全性拒否が発生し、同じ重み付けのMythos 5が88.0だったのに対して84.3を記録した。
- CodeRabbitの105例のコードレビュー実行:Opus 4.8の66件に対し、実行可能な指摘は65件で、精度はより低かった。
単価表の外にも、さらに3つのコストがある。
- 可用性の履歴。Anthropicの再デプロイメントに関する声明によれば、米国の輸出規制が「米国内外を問わず外国籍の人へのアクセスを制限する必要があった」ため、両モデルは2026年6月12日から7月1日まで停止された。全ユーザーが約18日間、一切アクセスできなかった。
- 統合作業。ローンチドキュメントでは、Fable 5を呼び出す統合担当者に対して、新しい拒否処理、別Claudeモデルへのフォールバック再試行、新しい請求ルールへの対応を求めている。1倍のモデルにはこうした対応が不要だ。
- 2つの機能ではOpus 5が上回る。Opus 5の信頼できる知識カットオフは2026年5月で、Fable 5の2026年1月より新しい。また会話途中のツール変更は、ベータ版
mid-conversation-tool-changes-2026-07-01としてOpus 5以降で利用できる。
Mythos 5とProject Glasswingの位置づけ
Anthropicは今もFable 5を「Anthropic's most capable widely released model」と呼んでいる。このwidely releasedという限定が、同じ能力と同一の$10 / $50料金を持つClaude Mythos 5(claude-mythos-5)を除外している。
Mythos 5は、限定的な防御的サイバーセキュリティ提供であるProject Glasswing経由でのみ提供され、セルフサービスの登録はない。違いは能力ではなく、分類器とアクセスにある。Mythos 5はFable 5から安全性分類器を外したものであり、より強いモデルではない。
このため、セキュリティ用途での構図は変わる。Anthropicはサイバーセキュリティと生物学でMythos 5をOpus 5より上位に置き、エクスプロイト開発では「far behind」としている。セキュリティ作業で最も強いClaudeは購入できず、購入できる2倍のモデルは無害なデバッグにも分類器が反応するモデルだ。系譜については、Opus 4.8との比較で測定したMythos 5を参照してほしい。
それぞれの呼び出し方
モデルIDと利用経路
Opus 5はclaude-opus-5として提供され、Claude Maxの新しいデフォルトになっている。Fable 5は同じAPIでclaude-fable-5として利用でき、Claude Codeではどちらも/modelから選択する。Opus 5は以下で動作する。
- Claude API、claude.ai、Claude Code、Claude Cowork
- Amazon Bedrock:
anthropic.claude-opus-5 - Google CloudおよびMicrosoft Foundry
両モデルともコンテキストウィンドウは100万トークン、最大出力は128kであり、コンテキスト長は比較の決め手にならない。コンシューマープランでは、Fable 5の利用枠は7月7日以降にusage creditsへ移行した。標準Enterpriseシートには「no included Fable 5 allowance」と明記されているため、クレジットのない組織はFable 5をまったく利用できない。
支出を左右する設定
費用を動かすのはeffortとthinkingの制御だ。Opus 5はlowからmaxまで指定でき、デフォルトはhigh。high以下ならthinkingの無効化も受け付ける。対してFable 5のadaptive thinkingは無効化できない。出力トークンに構造的な下限があるのであって、調整用のダイヤルではない。
Anthropic互換のゲートウェイ経由でClaudeをルーティングしているなら、この比較のどちらを搭載しているか確認したい。
AIReiterでは、Opus 4.8の料金は100万トークン当たり$1.56 / $7.76で、公式の$5 / $25よりおよそ69%低い。7月25日時点のClaudeラインアップはFable 5、Sonnet 5、Opus 4.8、Opus 4.7までで、Opus 5の項目はまだない。
推奨と、ただ一つの例外
基本はOpus 5を選び、Fable 5はタスク種別ごとに根拠を示せる場合だけエスカレーション先にする。Anthropic自身の案内も同じだ。「複雑なエージェント型コーディングやエンタープライズ作業には、まずClaude Opus 5から始める。利用可能な最高能力が必要なワークロードにはClaude Fable 5を使う。」
次の2ケースでは、閾値を上回るのではなく計算の前提そのものが変わる。
- 長時間の自律実行。見えない失敗のコストがリトライを上回り、
pを測定できなくなる場合。 - 非同期で実行できる処理。BatchのFable 5なら、Opus 5の同期リクエスト定価と同額になる。
計算を満たすのではなく、そもそも計算を上書きする例外が一つある。Priority Tierだ。Fable 5とOpus 4.8は対象だが、Opus 5、Sonnet 5、Mythos 5は対象外である。そのため、コミットされた99.5%アップタイムのスループットを必要とするワークロードでは、安い側をいくら払っても購入できない。
ただし、この点は限定的に読むべきだ。Anthropicは、このキャパシティコミットメントを「are no longer available for purchase」としている。既存契約者も契約終了日までしか維持できない。すでに契約を持っていなければ、この例外は使えず、損益分岐の計算はそのまま有効だ。
FAQ
Opus 5はFable 5より優れている?
Opus 5は、max effort時にFable 5のCursorBench 3.2最高スコアから0.5%以内に到達し、タスク当たりの費用は半額だとされる。これはベンダー報告値で、独立した追試は行われていない。また知識カットオフも、Fable 5の2026年1月に対してOpus 5は2026年5月と新しい。
一方のFable 5は、最も高性能な広範提供モデルという位置づけを維持し、長期的なエージェント実行を意識した設計になっている。Priority Tierの対象であることは、すでにコミットメントを持つ組織にしか利点にならない。
Fable 5はなぜClaudeから削除され、今は戻っている?
Anthropicは、米国の輸出規制により外国籍の人へのアクセス制限が必要になった後、2026年6月12日から7月1日まで両モデルを全ユーザー向けに停止した。きっかけは、Fable 5の安全対策を回避してソフトウェア脆弱性を見つけるための外部報告されたプロンプト手法だった。現在は再訓練済み分類器とともにアクセスが復旧しており、99%以上のケースでこれをブロックする一方、無害なコーディング要求も以前より多くフラグする。
Claude Fable 5は無料?
いいえ。API料金は100万トークン当たり$10 / $50だ。コンシューマープランでは7月7日まで週次利用上限の最大50%まで含まれていたが、その後はusage creditsに移行した。標準Enterpriseシートには利用枠がない。大規模利用で最も安い経路は、$5 / $25のBatch APIになる。
Fable 5のトークナイザーにより、実際の価格差は2.6倍になる?
ならない。どちらもOpus 4.7で導入されたトークナイザーを使っているため、およそ30%の増加はSonnet 4.6以前との比較に当てはまるもので、この2モデル間の差ではない。トークン単価の差は2.0倍であり、今回のサンプルではFable 5の出力が21%少なかったため、1回当たりの差は約1.6倍となった。
Fable 5とMythos 5の違いは?
仕様も料金も同じで、$10 / $50だ。Mythos 5はFable 5と同じ能力を持つが、安全性分類器を搭載せず、Project Glasswing経由でのみ提供される。セルフサービス登録はない。両方とも30日保持のCovered Modelsであり、同じ6月の期間に停止された。
Fable 5のthinkingを無効にして請求額を下げられる?
できない。Fable 5のadaptive thinkingは常時有効であり、出力トークンの下限は構造的に決まっている。Opus 5ではhigh以下のeffortでthinking: {"type": "disabled"}を受け付ける一方、xhighおよびmaxでは400を返す。費用を調整するダイヤルになるのは安いモデル側だけだ。
覚えておくべき数字
ほとんどのタスク種別でClaude Opus 5 vs Fable 5を決めるのは、たった一つの比率だ。そして答えはOpus 5を指す。同じ計算はベンダーをまたいでも使え、GPT-5.6ファミリーとのOpus 5比較では料金だけが変わる。
success_rate(Fable 5) / success_rate(Opus 5) >= 1.6なら損益分岐だ。ワークロードでこの線を下回るなら、Opus 5にリトライを加えたほうが、完了タスク当たりの費用は低い。
