今週組み込むエージェントには、claude-opus-5とgpt-5.6のどちらを指定すべきか。まず押さえておきたいのは、後者が単一モデル名ではない点だ。gpt-5.6は、料金体系の異なる3つのSKUのうち1つを指すエイリアスになっている。
結論を先に言えば、入力272,000トークン未満では両フラッグシップの価格差は7%以内だが、それを超えるとClaude Opus 5はGPT-5.6 Solのおよそ半額になる。2026年7月24日に4モデルすべてへ同じ4項目のチェックを実行し、両社の公式ドキュメントを基に各条件の料金も照合した。
GPT-5.6のSol、Terra、Lunaは同世代の3サイズ展開
OpenAIは2026年7月9日、この3モデルを同時に公開した。モデルリファレンスでは、Solを「従来のGPT-5ファミリーにおけるサフィックスなしのティア」、Terraを「miniモデルのティア」、Lunaを「nanoモデルのティア」と位置付けている。つまり別々の3世代ではなく、1世代を3 SKUで提供している形だ。
gpt-5.6という素の文字列はエイリアスである。OpenAIの変更履歴ではgpt-5.6-solへ解決されるため、設定にgpt-5.6と書けば、このファミリーの最上位料金で請求される。
| バリアント | モデルID | 対応する従来ティア | 入力 / 出力、100万トークン当たり(≤272K) | 推論評価 |
|---|---|---|---|---|
| Sol | gpt-5.6-sol(エイリアス gpt-5.6) | サフィックスなし | $5.00 / $30.00 | 最高 |
| Terra | gpt-5.6-terra | mini | $2.50 / $15.00 | より高い |
| Luna | gpt-5.6-luna | nano | $1.00 / $6.00 | 高い |
違いより共通点のほうが重要だ。3つのモデルページでは、以下の仕様がすべて同一となっている。
- コンテキストウィンドウは1,050,000トークン、最大出力は128,000トークン
- 知識カットオフは2026年2月16日
- テキストと画像を入力し、テキストを出力。ファインチューニング非対応、日付付きスナップショットなし
- effortの段階設定と「Fast」の速度評価は共通
公式に記載された差分は、価格と推論評価だけだ。各ティアのページにはそれぞれ「Default」タグが付くが、Terraにこの表示があるからといって、Terraがファミリー全体のデフォルトという意味ではない。
一方のAnthropicは、単一SKUで展開する。Claude Opus 5は2026年7月24日にclaude-opus-5として登場した。日付サフィックスのない固定スナップショットで、100万トークン当たり入力$5、出力$25。1Mのコンテキストウィンドウはデフォルトであり、同時に最大値でもある。
コーディング検証:4つの機械判定タスクは全モデル合格
機械的に合否を判定できる4つのタスクを、OpenAI互換ゲートウェイ経由で実行した。すべてのモデルに同一のユーザープロンプトを送っている。
- バグ修正:in-placeの
sort()で呼び出し元のリストを変更し、さらにインデックスが1つずれていたkth_smallestを修正 - 厳格なJSON:キー順序を固定し、件数とチェックサムの整合性を要求
- 推論:7個パックと12個パックだけで作れない最大の合計値を求める。フロベニウス数であり、7×12−7−12 = 65
- リファクタリング:シグネチャを変えずにバリデーションを追加
結果は4モデルとも4/4だった。sorted()またはコピーを使いインデックスをk-1へ修正、指定されたキー順のパース可能なJSON、答えは65、そして問題のないリファクタリングである。ただし、これはモデルとタスクの組み合わせごとに1回だけ行った実行であり、ベンチマークではない。この規模では正確性に差は出なかった。
より広範な主張については、独自再現していないベンダー公表値に依存する。Anthropicのローンチ資料によると、Opus 5は最大effort時、Fable 5のCursorBench 3.2最高スコアから0.5%以内に収まりつつ、タスク当たりのコストは半分だという。これは同社による相対比較の数値だ。OpenAIのGPT-5.6ローンチページは自動取得に403を返すため、Solのコーディングスコアについては公開元の情報を参照するほかない。
| 第三者ベンチマーク | Sol | Terra | Luna |
|---|---|---|---|
| Vellum、Terminal-Bench 2.1 | 88.8% | 87.4% | 84.7% |
| Artificial Analysis、Coding Agent Index | Codex使用時80 | 77 | 75 |
実利用での評価は、スコアボードほど収束していない。両者をHigh effortで比較したある開発者は、7月24日の投稿で「GPT 5.6 Sol Highは、依然としてClaude Opus 5 Highよりコーディングに優れている」と述べている。
Anthropicの移行ガイドには実務上見逃せない注意点もある。Opus 5は自分の作業を自ら検証するため、既存プロンプトに検証ステップを追加している場合は過剰検証を招く。そうした指示は削除すべきだ。
指示追従性:差が出たのは出力フォーマット
4項目のうち2つは、実質的には指示追従性のテストだった。JSONタスクではitemsを小文字のアルファベット順に並べ、チェックサムを14にし、余分なキーを含めないことを要求した。リファクタリングではValueErrorを送出し、コメントもdocstringもゼロにするよう指定した。モデルは作業内容を説明したがるため、ここは破りやすい条件だ。4モデルはいずれも両方を通過した。
ただし出力形式には差があった。SolとLunaは答えをLaTeXで囲み、\boxed{65}を返した。Opus 5とTerraは単なる数値だった。末尾の整数を抽出する正規表現ならどちらにも対応できるが、裸の数値やJSONフィールドを期待するパーサーでは失敗する。claude-opus-5をgpt-5.6に置き換えるだけなら、こうしたデフォルトの違いもそのまま引き継ぐことになる。
トークン効率:Solの464トークンに対しOpus 5は1,182トークン
以下の差を生む主因として考えられるのは、品質ではなく2つの設定デフォルトだ。Opus 5はthinkingが有効で、APIとClaude Codeではeffortの初期値がhighになっている。何も指定しないリクエストでも、すでに推論リクエストになる。GPT-5.6のデフォルトはmediumだ。
4タスク全体の可視完了トークン数と、公式の出力料金に基づくコストを示す。各ペアは1リクエスト、リトライなし、デフォルト設定で実行した。
| モデル | 出力トークン | リファクタリングタスク | 出力のみのコスト |
|---|---|---|---|
| Claude Opus 5 | 1,182 | 600 tok / 8.3s | $0.0296 |
| GPT-5.6 Sol | 464 | 321 tok / 12.0s | $0.0139 |
| GPT-5.6 Terra | 737 | 603 tok / 11.8s | $0.0111 |
| GPT-5.6 Luna | 612 | 380 tok / 8.7s | $0.0037 |
このコストは、2つの制約を踏まえて読む必要がある。同一のユーザープロンプトにもかかわらず、ゲートウェイはGPTモデルで62〜4,471のプロンプトトークンを報告し、Claudeは592〜640の範囲に収まった。実際に送信されたリクエストは同一ではないため、入力側の数値に意味はなく、その差を明確に特定することもできない。
また、OpenAIのreasoningガイドでは、オプトインしない限り推論要約は返されない。しかしGPT-5.6では、その非表示トークンにも出力料金がかかる。したがってGPTの3つのコストは請求額を過小評価している。比較可能なシグナルは正確性であり、トークン数とレイテンシは方向性を見る値にとどまる。
このグラフには、同じ実行で得たClaude側の比較対象であるOpus 4.8とSonnet 5も含めている。4タスク合計では、Opus 5が24.6秒で6モデル中もっとも遅かった。Solは20.3秒、Terraは22.7秒、Lunaは18.4秒である。Opus 4.8はthinkingがデフォルトで無効で、11.8秒で完了した。この点からも、差は能力より設定に起因すると考えるのが妥当だ。
Artificial Analysisはリリース日にOpus 5を評価し、そのeffort設定について、他研究所のモデルより広いトークン使用量レンジを持つと述べた。料金表から受ける印象より、コスト調整の余地は大きい。
料金比較:272Kトークンで発生する段差をドルで見る
Claude Opus 5とGPT-5.6の価格比較は、公開されているたった一文で決まる。表面上の料金では、フラッグシップ同士の差はごく小さい。Opus 5は100万トークン当たり入力$5、出力$25、Solは入力$5、出力$30で、Opus 5は出力が17%安く、入力は同額だ。だが、この関係が成り立つのは入力272,000トークンまでである。
GPT-5.6の3つのモデルページには、共通して次の記載がある。「入力トークン数が272Kを超えるプロンプトは、リクエスト全体に対して入力2倍、出力1.5倍の価格となる」。境界を超えた分だけではなく、リクエスト全体に適用される。272Kを1トークンでも超えると、Solは通話全体で$10/$45となる。一方、Opus 5の1Mウィンドウは最初から最後まで$5/$25のままだ。
出力20,000トークンのエージェント型リクエスト1件を想定し、入力量を変えてみる。料金はOpenAIの公開料金とAnthropicの標準料金に基づき、どちらも2026年7月25日に確認した。
| 入力トークン | Claude Opus 5 | GPT-5.6 Sol | GPT-5.6 Terra |
|---|---|---|---|
| 200,000 | $1.50 | $1.60 | $0.80 |
| 400,000 | $2.50 | $4.90 | $2.45 |
| 900,000 | $5.00 | $9.90 | $4.95 |
境界未満ならフラッグシップ間の差は7%だ。境界を超えると、400K入力ではSolがOpus 5の1.96倍、900Kでは1.98倍になる。400Kの形状のリクエストを100件処理するなら、Opus 5は$250、Solは$490となる。
注目すべき形状はTerraだ。272Kを超えると入力料金はOpus 5と同じ$5/100万トークンになる。そのため両者の差は出力料金、100万トークン当たり$2.50だけだ。この出力20Kのリクエストでは、300K入力でも900K入力でも差は5セントであり、入力量ではなく出力量に応じて広がる。この境界は連続的な傾きではなく、料金表にある離散的な段差である。
Batch料金、トークナイザー、購入先の違い
割引ティアでも、400K入力リクエストにおける比率は保たれる。
- Anthropic Batch API:Opus 5は入力$2.50、出力$12.50となり、リクエストは$1.25
- OpenAI BatchおよびFlex:標準料金から50%オフ。Solの長コンテキスト料金は$5/$22.50となり、同じリクエストは$2.45
ベンダーをまたいでトークン単価をそのまま比べることはできない。Anthropicの料金ドキュメントによれば、Opus 5を含むClaude 4.7以降のモデルでは新しいトークナイザーを使っており、同じテキストでもトークン数はおよそ30%多くなる。比率はコンテンツや言語で変わる。GPT-5.6で400,000トークンの文書は、Opus 5ではおよそ520,000トークンとなり、この行の入力コストは$2.00から$2.60へ上がる。それでもSolの$4.00未満だが、導入を決める前に自分のプロンプトでトークン化しておきたい。
購入先も価格を左右する。AIReiterはClaudeを定価より安く再販しており、Opus 4.8は100万トークン当たり入力$1.56、出力$7.76で、公式料金より約69%安い。ただしカタログの上限はFable 5とOpus 4.8で、Opus 5はまだ利用できない。Anthropicのラインアップ内では、Fable 5が$10/$50、Opus 5が$5/$25であり、どこで損益分岐するかが比較ポイントになる。
コンテキスト:どちらも1M級、ただしOpus 5は料金が一律
Opus 5のコンテキストウィンドウは1,000,000トークンで、デフォルト値と最大値が同じだ。誤って小さいコンテキスト版を選ぶ余地はない。GPT-5.6の3バリアントはいずれも1,050,000トークンで、5%大きい。最大出力は両陣営とも128,000トークンだが、AnthropicのBatch APIには非対称な点がある。output-300k-2026-03-24ベータヘッダーを付けると、Opus 5の上限は300,000まで引き上げられる。
Solは900Kトークンのプロンプトを受け付けるが、リクエスト全体が長コンテキスト料金になる。広告上のウィンドウのうち、およそ74%は安価な料金帯を超えた領域にある。長文での能力は別問題だ。Vellumの分析では、MRCRでLunaは41.3%、Solは91.5%、Terraは89.6%とされる。nanoティアは、料金にかかわらず長コンテキスト業務から外す理由になる。知識カットオフも異なり、Opus 5は2026年5月、GPT-5.6の3モデルは2026年2月16日だ。
推論コントロール:共通の段階設定と異なる追加ノブ
Opus 5では、どのeffortレベルにもベータヘッダーは不要で、thinkingはデフォルトで有効だ。ただし無効化には明確な制限がある。thinking: {"type": "disabled"}を受け付けるのはeffortがhigh以下の場合のみで、xhighまたはmaxでは400を返す。Anthropicはこれを旧モデルからの破壊的変更と位置付けている。
| コントロール | Claude Opus 5 | GPT-5.6 |
|---|---|---|
| effortの段階 | low → medium → high → xhigh → max | none → low → medium → high → xhigh → max |
| デフォルトeffort | APIおよびClaude Codeではhigh | medium |
| 第2のノブ | なし | reasoning.mode:standard(デフォルト)またはpro |
| 推論の無効化 | highを超えるeffortでは不可 | effort: none |
OpenAIのreasoningガイドに記載されているmode値は、この2つだけだ。APIにultraという値はなく、Pro modeの内部メカニズムも説明されていない。7月9日の変更履歴では、persisted reasoning、max effort、Pro modeがこのファミリーに追加された機能として挙げられている。
実用面での非対称性は明快だ。GPT-5.6はレイテンシ重視の呼び出しで推論を完全に止められる。Opus 5はhighを超えるeffortでそれができない。一方で、Opus 5は推論を有効にした状態での動的レンジが広い。両者を追っているある開発者は、ベンダー横断の段階設定として、Luna high、Sol medium、続いてOpus medium、high、xhighを採用している。
提供先、レート制限、ファインチューニング
Opus 5はClaude APIのほか、Amazon Bedrockではanthropic.claude-opus-5として、Google Cloud、Microsoft Foundry、claude.ai、Claude Code、Claude Coworkで利用できる。Claude Maxの新しいデフォルトでもある。Anthropicのfast modeは、Claude APIに限って利用可能で、料金は$10/$50、スループットは約2.5倍だ。
GPT-5.6の3バリアントはいずれもOpenAI API向け製品であり、無料APIティアではSolもTerraも利用できない。Solの公開レート制限はTier 1の500 RPMからTier 5の15,000 RPMまで上がり、Terraも同じ上限を共有する。3モデルともファインチューニングには対応せず、日付付きスナップショットも提供しない。バージョンを固定するには素のIDを固定し、インプレース更新を受け入れる必要がある。
用途別:どのモデルを向けるか
最初に確認すべきは入力サイズだ。公開料金に明確な不連続点があるのは、この軸だけである。その後に、キャッシュ、Batch対象かどうか、出力量が総額を左右する。
272K未満ではフラッグシップ同士の価格差は小さく、最終判断は別の要件に委ねられる。272Kを超えると、定価ベースではOpus 5がSolよりおよそ2倍有利だ。ただし、この優位性をGPT-5.6ファミリー全体に広げてはいけない。同じリクエストでは、境界を超えたTerraは$2.45、Opus 5は$2.50である。長コンテキストの節約はSolとの比較であって、GPT-5.6全体との比較ではない。
- Claude Opus 5:大きなプロンプト、1Mウィンドウで一律料金、2026年5月までの知識、あるいはBedrock、Google Cloud、Foundryで推論を実行する必要がある場合。
- GPT-5.6 Terra:レンジの両端でOpus 5を下回るため、ボリューム用途のデフォルト候補。
- GPT-5.6 Sol:必要なのが
promodeまたはnoneeffortである場合。今回測定できた正確性の優位ではなく、コントロール性に対してプレミアムを払うモデルだ。 - GPT-5.6 Luna:浅い高ボリューム業務向け。長コンテキストのタスクには使わない。
Claude Opus 5とGPT-5.6の選択は、入力サイズの区分ごとに1つの判断へと整理できる。そして、その境界がどこにあるかは両社が公開している。
FAQ
Claude Opus 5はコーディングでGPT-5.6より優れている?
今回の4つの機械判定チェックでは、Opus 5、Sol、Terra、Lunaはいずれも4/4だった。この規模では正確性に差は出ず、High effortで両者を使う開発者の見解も分かれている。コストについてはより明確で、入力272Kトークンを超えるとOpus 5はSolのおよそ半額になる。
GPT-5.6 Sol、Terra、Lunaの違いは?
違いは価格と定性的な推論評価だ。OpenAIのドキュメントでは、Solは従来のサフィックスなしティア、Terraはmini、Lunaはnanoに対応する。入力272Kトークン未満では、100万トークン当たりそれぞれ$5/$30、$2.50/$15、$1/$6である。コンテキストウィンドウ、最大出力、知識カットオフ、モダリティ、effortの段階設定は3モデルで共通している。
GPTとClaudeはどちらが優れている?
評価軸によって異なる。そして、両社が大きく打ち出していない軸に最も大きな公開差がある。benchlm.aiでは、AA-Omniscienceのハルシネーション率がClaude Opus 4.8で35.9%、GPT-5.6 Solで88.8%と記録される一方、数学、知識、エージェント系カテゴリではSolが先行している。これは公開済みの中で最も近い組み合わせであり、Opus 5またはTerraのデータを載せたアグリゲーターはまだない。誤答のコストが見逃しのコストを上回るなら、この順位はコーディングスコアより重視すべきだ。
SolではなくGPT-5.6 Terraを使うべき?
大半のボリューム用途では、そう言える。r/codexで深さに応じてルーティングしている実務者は、作業の配分がTerra 75%、Luna 15%、Sol 10%あたりに落ち着くと報告している。Artificial Analysisは、中間ティアは支配されていると論じる。LunaかSolの何らかの設定が、同等以下の価格で適合する場合が多いためだ。中間モデルなら安全と決めつけず、Terraを両隣と比較してテストしたい。
GPT-5.6にultra推論モードはある?
APIでは、reasoning.effortにnoneからmaxまでの値があり、加えてreasoning.modeには文書化されたstandardとproの2値がある。Pro modeは2026年7月9日の変更履歴で追加された。OpenAIのreasoningガイドにもモデルページにも、ultraという値は存在しない。
