Fugu-Ultra v1.1:価格据え置きで最大7.9ポイント向上とSakanaが主張

最終更新日: 2026-07-24 02:46:20

すでにFugu-Ultraでワークロードを回しているなら、2026年7月24日のアップデートはシンプルだ。料金はそのまま、内部で使われるモデルは新しくなり、Sakanaは最大7.9ポイントの性能向上を掲げている。ただし注目すべきなのは、そのベンチマーク上の主張が何を裏付け、何を裏付けていないのかだ。ユーザーによっては、確認なしに切り替えるべきではない理由もある。

Fugu-Ultraは、一般的な意味での単一モデルではない。Sakana Fuguの最上位ティアであり、1回のAPI呼び出しを複数のフロンティアモデルへ振り分けるオーケストレーションレイヤーだ。プランナー、実行役、検証役といった役割を各モデルに割り当て、得られた結果を1つの回答にまとめる。仕組みはSakanaの公式Fuguページで確認できる。以下で扱う料金、ベンチマーク、提供地域に関する情報も同ページを出典としている。

複数のフロンティアモデルを1つのAPI経由で指揮するオーケストレーションレイヤーとしてFuguを紹介するSakana Fuguのホームページ

Fugu-Ultra v1.1で変わったこと

v1.1では、内部のモデルプールが新しいフロンティアモデルへ更新された。Sakanaの位置付けは全面刷新ではなく、既存のオーケストレーションシステムは維持したまま、実作業を担うモデル群をアップデートするものだ。Fugu、Fugu-Ultra、Fugu-Cyberという3ティア構成にも変更はない。

リリース告知でSakanaが強調するのは、v1.0比で最大7.9ポイントの向上だ。とくに伸びたとされるのはProgramBenchとTerminal Bench 2.1。いずれも、単一モデルでは途中で文脈や方針を見失いやすい、エージェント型のマルチステップコーディング評価だ。オーケストレーションが本領を発揮しやすいタスクであり、改善の方向性自体はもっともらしい。一方、改善幅はSakana自身が示した数値であり、以下の通り検証できる部分とできない部分がある。

ベンチマーク数値をどう読むべきか

Sakanaが現在公開しているFugu-Ultraのスコアは次の通りだ。

Fugu-Ultraのベンチマークスコアを示す棒グラフ。GPQA-Diamond 95.5、LiveCodeBench 93.2、MRCRv2 93.6、LiveCodeBench Pro 90.8、Terminal Bench 2.1 82.1、SWE-Bench Pro 73.7、Humanity's Last Exam 50.0

ただし、「+7.9」を確定的な数値として扱う前に押さえておきたい点が2つある。

公開されているベンチマーク表はバージョン別に分かれていない。掲載されているのはFugu-Ultraのスコアのみで、v1.0とv1.1を並べた列はない。そのため、7.9ポイントという数字を構成するベンチマークごとの差分は公開情報から検証できない。表示されているSWE-Bench Pro 73.7、Terminal Bench 2.1 82.1、LiveCodeBench 93.2も、v1.0ビルドですでに公表されていた数値と同じであり、現状の表からは主張された改善を確認できない。

また、告知で大きく伸びたベンチマークとして挙げられたProgramBenchは、公開スコアカードには掲載されていない。

もちろん、これだけでSakanaの主張が誤りだとは言えない。ただ、数値を基準にモデルを選ぶなら、現時点では「最大7.9ポイント」はベンダーの主張として受け止めるのが妥当だ。Sakanaが差分データを公開するまで、その改善幅を前提にする前に自分のタスクでテストしたい。

料金と提供条件はv1.0から変更なし

v1.1への更新に伴う料金改定はない。Fugu-Ultraは入力100万トークンあたり$5、出力100万トークンあたり$30。リクエストが272Kのコンテキストを超えると$10 / $45になり、キャッシュ済み入力は100万トークンあたり$0.50だ。月額$20、$100、$200のサブスクリプションプランも継続される。オーケストレーションのオーバーヘッドを含めた実際のコストについては、ティアごとにまとめたSakana Fuguの料金・APIガイドを参照してほしい。

モデルIDはfugu-ultra-v1.1で、従来ビルドはfugu-ultra-20260615だ。なお米国外で利用する場合の制限として、SakanaはGDPR準拠に取り組んでいる間、EU/EEAではFuguを提供していないとしている。

v1.0から切り替えるべきか

大半の構成では、移行リスクは低い。料金、エンドポイント、リクエスト形式は同じなので、モデルIDを変更するだけでよい。バージョン指定なしのfugu-ultraエイリアスを使っている場合は、利用者側で何もしなくても、すでにv1.1へ移行している可能性が高い。

例外は再現性を重視するケースだ。回帰テスト、運用中のベンチマーク、出力の安定性が必須の用途などで、意図してfugu-ultra-20260615に固定しているなら、v1.1は無償の性能向上ではなく挙動変更として扱うべきだ。モデルプールの更新により、ルーティングと出力は変わり得る。Sakanaは移行差分を公開していないため、まず従来の固定IDを維持し、自前の評価セットでv1.1をテストする。それで問題ないことを確認してから切り替えるのがよい。

Fuguと通常のAPIゲートウェイの違い

1つのエンドポイントから多くのフロンティアモデルへアクセスする方法はFuguだけではない。何に料金を払うのかは、明確にしておきたい。

Fuguはオーケストレーションレイヤーであり、呼び出すモデルと結果の組み合わせ方を決定する。1つのタスクで複数モデルに処理が分散することもあるため、実タスクあたりのコストは基本トークン単価を上回る。真に難しく、複数ステップをまたぐ仕事であれば、それは理にかなった選択だ。

一方で、「強力な1モデルを安定して低コストに呼び出したい」という用途なら、ルーティングゲートウェイのほうがシンプルだ。OpenRouterのようなサービスは、オーケストレーションの上乗せなしで、多数のモデルを1つのエンドポイントから提供している。AIReiterのようなプラットフォームでは、定価を下回る価格でClaudeおよびGPT APIへの直接アクセスも利用できる。判断は簡単で、単一モデルが安定して失敗し、協調処理なら解決できるタスクを具体的に挙げられないなら、不要なオーケストレーションに料金を払っている可能性が高い。

FAQ

Fugu-Ultra v1.1は本当にv1.0より優れている?

Sakanaは、ProgramBenchやTerminal Bench 2.1といったエージェント型コーディング評価を中心に、最大7.9ポイント改善したと主張している。ただし、両ビルドを比較するベンチマーク別の公開表はない。この数値を前提にする前に、自分のタスクで改善を確認すべきだ。

従来のv1.0ビルドを使い続けるには?

リクエスト内で、fugu-ultra-v1.1やバージョン指定なしのfugu-ultraエイリアスではなく、モデルIDをfugu-ultra-20260615に固定する。エイリアスは最新ビルドを追従するため、そのままにしておくとv1.1へ移行する。

Sakana Fuguはオープンソース?

一部は公開されている。手法と関連コードは公開済みで、SakanaのオーケストレーションはTRINITYの取り組みで説明されている。ただし、ホステッドサービスと、どのモデルを呼び出すかを決めるConductorルーティングは非公開だ。仕組みを読むことはできるが、本番用オーケストレーターをセルフホストすることはできない。

EUでFugu-Ultra v1.1を使える?

現時点では使えない。SakanaはGDPRおよびEU固有のコンプライアンス対応を進めている間、EU/EEAではFuguを提供していない。

v1.1で料金は変わる?

変わらない。v1.0と同じく、100万トークンあたり入力$5、出力$30、キャッシュ済み入力$0.50で、272Kコンテキスト超では$10 / $45の上位料金帯となる。

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