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Inkling 2 Smallレビュー:100万トークン0.30ドル、現状はTinker限定(2026年)

最終更新日: 2026-11-06 00:38:23

総パラメーター594B、そのうち1トークンごとに使うのは17B。数字だけを見ると、ほとんど“ただ乗り”のようにも聞こえる。Inkling 2 Smallは入力100万トークンあたり0.30ドルと安価だが、現時点ではTinker限定。コーディング性能でもDeepSeek-V4.1-Flash-1017に首位を譲っており、ローンチ記事から受けるほど万能な選択肢ではない。以下はローンチレポートとTinkerの料金をもとにした評価で、独立したレイテンシーおよび出力品質の検証はまだ行えていない。

Inkling 2 Smallとは何か

Inkling 2 Smallは、Thinking Machines Labが2026年11月5日に発表した第2世代の小型Mixture-of-Expertsモデルだ。総パラメーター数は594B、アクティブパラメーターは17B。入力はテキストと画像に対応し、長期的なエージェントタスク向けに推論の強度も可変になっている(Thinking Machines Lab)。

仕様Inkling 2 Small
アーキテクチャMixture-of-Experts
総パラメーター数/アクティブパラメーター数594B/17B
入力モダリティテキスト+画像(音声なし)
推論制御可変推論強度(ベンチマークは0.99/xhighで実施)
ビジョンエンコーダー292Mパラメーター、20x20パッチ、2x2プーリング
数値形式NVIDIA GB300 NVL72上のNVFP4
学習コンテキストコンパクション付き256Kトークン(ベンチマークの軌跡は最大1M)
Artificial Analysis Index31(発表時点)

総パラメーター数は594Bに達するが、Tinkerでは小型モデルと同じような価格設定になっている。

今すぐ試す方法:現状はTinker限定、重みは来週公開予定

Inkling 2 Smallを現時点で利用できるのは、Thinking Machines LabのTinkerプラットフォームだけだ。Playground、ファインチューニング、サンプリングに対応している。ダウンロード可能な重みはまだ公開されておらず、外部の安全性テストとレッドチーム検証を条件に、完全なチェックポイントをApache 2.0で来週公開する予定だという(Thinking Machines Lab)。

現状を実際の運用目線で整理すると、ポイントは3つある。

  • 発表で案内されている利用経路はTinkerだけ。公式のHugging Face版やGGUF版、サードパーティープロバイダー経由の提供は発表されていない。
  • 初期チェックポイントはOpenCode上でFledge-Alphaという名前で公開テストされていた(Thinking Machines Lab)。コミュニティでFledge-Alphaと表示された記録は、このモデルファミリーを指している。
  • 自前運用を考えているなら、今は待つべきだ。発表資料にはスループットやTime to First Tokenの数値がなく、公式のVRAM目安や量子化手順も公開されていない。

Tinkerの料金と、比較対象として見るべきモデル

Inkling 2 SmallのTinkerサーバーレス推論料金は、256Kコンテキストで入力100万トークンあたり0.30ドル、キャッシュ済み入力が0.03ドル、出力が1.00ドル。Thinking Machines Labが提供する3つのホスト型モデルの中では、サーバーレスの出力料金とキャッシュ済み入力料金が最も安い(Thinking Machines Lab)。

Tinkerのサーバーレス料金表。Inkling 2 Smallは100万トークンあたり入力0.30ドル、出力1.00ドル
モデル(サーバーレス、256K)入力/100万キャッシュ済み/100万出力/100万
Inkling 2 Small0.30ドル0.03ドル1.00ドル
Inkling-Small(第1世代)0.30ドル0.06ドル1.20ドル
Inkling(フラッグシップ)1.00ドル0.17ドル4.05ドル

キャッシュヒット率が80%なら、入力100万トークンの料金は約0.084ドルになる(200K × 0.30ドル+800K × 0.03ドル)。長いコンパクションを伴うロールアウトほど、この料金体系の恩恵を受けやすい。ベンダーによると、この学習方式ではロールアウトトークン数の中央値が43K、p99が1.5Mだった(Thinking Machines Lab)。

ベンチマーク:強い領域と、DeepSeek Flashに負ける領域

以下のスコアはベンダーのレポートカードに基づく。勝った項目だけでなく、敗れた項目も開示されている(Thinking Machines Lab)。

ベンチマークInkling 2 Small表中の最上位モデル
FrontierCode v2.025.4%28.5% DeepSeek-V4.1-Flash-1017
DeepSWE v1.172.1%77.0% DeepSeek-V4.1-Flash-1017
SWEBench Pro v2 Hard86.3%88.2% Kimi K3
Vibe Code Bench v1.181.6%87.7% DeepSeek-V4.1-Flash-1017
HLE-Diamond28.7%グループ首位(Kimi K3は26.9%)
LongBench v270.6%グループ首位(Kimi K3は69.0%)
AA-Omniscience(スコア/非ハルシネーション)16.1/73.3%グループ内で非ハルシネーション率が最高
DesignArena Webスナップショット1,340(3位)1,366 Muse Wonder(首位)
JobBench/Vals Legal/Vals Finance70.5%/73.9%/61.5%表示された各グループで首位
Terminal Bench Science5.7%12.9% DeepSeek-V4.1-Flash-1017

LongBench v2の70.6%は長文コンテキスト対応を裏付ける数字で、HLE-Diamondの28.7%は難度の高い推論性能を示す結果としてグループ首位に立っている。エンタープライズ系では、CoreCraftが71.8%、DAYJOB Financeが14.3%で、JobBenchやValsとともに表示されたグループの首位だった。一方で注意点もある。DiligenceBenchは58.1%でMuse Spark Openの59.0%に届かず、kernel autoresearchは6.02倍で、Claude Opus 5.5の18.80倍を下回る。研究所自身も、冗長さ、構成のばらつき、ツール選択の不完全さ、過剰拒否を課題として認めている。FORTRESSは20.4で、GLM-5.3の3.2を大きく上回る。

Inkling-Smallから何が変わったのか

総パラメーター数は276Bから594Bへと2倍以上に増え、アクティブパラメーターも12Bから17Bになった。ハルシネーション傾向は改善した一方、音声入力はなくなっている。新モデルが受け付けるのはテキストと画像だけで、第1世代は16 kHz WAVにも対応していた(Thinking Machines Lab)。

事実性については、ベンダーの数値を見る限り改善しているように見える。ただし、世代間で使われている指標は同一ではない。第1世代のSimpleQA Verifiedは約20.6%、Omniscienceスコアはマイナスだった(eesel AI)。Inkling 2 Smallは非ハルシネーション率73.3%でグループ首位に立つが、研究所は依然として冗長さと過剰拒否への注意を促している(Thinking Machines Lab)。

第1世代のセルフホスト報告は、v2の性能を示す証拠ではなく、あくまで参考情報として見るべきだ。

「Unsloth Studioで、Q4K_XLにして試してみた。多言語の会話ではかなりうまく動いている」— 第1世代Inkling-Smallのリリーススレッドに投稿されたu/VotZeFukのコメント(Reddit)

第1世代で報告された2-bit時の89 GBという最小構成は、コミュニティによるUnslothビルドのものだった(eesel AI)。総パラメーター数594Bのv2については、重みとレシピが公開されるまで必要要件は分からない。

エージェントにInkling 2 Smallを使うべきか

ルーティングの判断は、ベンチマークの総合順位ではなく、ワークロードの形で決まる。

ワークロードInkling 2 Smallを使うか理由
視覚的なフィードバックを伴う長期コーディングエージェントTinkerで試すコンパクションを含む学習と、視覚的な反復ループがこの用途に合う
検索を使うエンタープライズ調査、金融、法務文書の作成まず試すベンダーの表ではJobBench、Vals Legal/Finance、DAYJOB Financeで首位。実際の文書で検証したい
要約系タスクのファインチューニング試す(ベンダーのテストのみ)ベンダーの200ステップテストでは75ステップで第1世代の最終品質に到達した(Thinking Machines Lab)
エラー率の低さを最優先するSWE-bench系コーディング使わない。DeepSeek-V4.1-Flash-1017DeepSWEは72.1%対77.0%、FrontierCodeは25.4%対28.5%
検索やガードレールなしの事実ベースQ&Aまだ使わないOmniscience総合スコアは最上位の競合に及ばない。RAGと信頼度ベースのルーティングを併用したい
複数プロバイダーへのフェイルオーバーが必要待つTinkerという単一ベンダー経由のみで、サードパーティー経路は発表されていない

アラインメントスコアは従来モデルから改善している(内部の不正行動指標は14.9、従来は66.8から75.2。低いほど良い)。それでもGPT-6.1 Solの0.8には及ばない(Thinking Machines Lab)。

Inkling 2 Small FAQ

Inkling 2 Smallはオープンウェイトですか?

いいえ。2026年11月5日時点ではTinker上のクローズドウェイトモデルだ。安全性テストを経て、Apache 2.0の重みを来週公開する予定になっている。

Inkling-Smallとの違いは?

594B/17B対276B/12Bで、音声入力には非対応。非ハルシネーション率は73.3%、出力料金は100万トークンあたり1.00ドル対1.20ドルだ。

API料金は100万トークンあたりいくらですか?

Tinkerのサーバーレス環境では、256Kコンテキスト時に入力が0.30ドル、キャッシュ済み入力が0.03ドル、出力が1.00ドル。

ローカルで実行できますか?

まだできない。重み、レシピ、VRAMの目安はいずれも公開されていない。

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