Particle-1はPlotlyの非公開データ試験でGPT-6.1 Terraと同じ40/43を、$1.31ではなく$0.35で達成した。ただし、その優位性が生きるのはエージェント自身が成果を検証できるタスクに限られる。検証できない仕事では、DeepSeekより高い料金を正当化していたトークン削減が消えてしまう。
Particle-1は表示価格ではなく、完了タスクあたりのコストで勝つ
Particle-1は、Particle AIが2026年10月28日に公開したエージェント型コーディングモデルだ。Particleの報告によれば、コーディングタスク1件あたりの平均コストはDeepSeek V4.1 Flashが$0.3368、GLM 5.3 Flashが$0.6523なのに対し、Particle-1は$0.2211。正解率はそれぞれ71.15%、66.82%に対して72.57%だった。
このベンダー側の計算は、独立した検証でも一度は裏付けられている。PlotlyはParticle-1を43問の非公開データ分析試験で評価。10月31日にOpenRouter経由で実行し、40/43(93%)を記録した。これはGPT-6.1 Terraの40/43と同率で、DeepSeekのベースモデルの36/43を上回る。全テストの費用はOpenRouterの料金で$0.35。Terraの$1.31に対して、およそ4分の1だ。Plotlyは、試験した36モデルの中で40問以上に到達した最安モデルだとしている。
ただし、同じレポートには重要な但し書きもある。現在の低い料金でDeepSeek V4.1 Flashを新たに実行した場合、費用は約$0.24になるとPlotlyは見積もっている。つまり、Particle-1が勝ったのはベンチマーク実施時の料金で見た品質あたりのコストであって、常に安いわけではない。
Particle-1の正体:1Mコンテキスト対応のDeepSeek V4.1 Flash追加学習版
Particle-1はゼロから学習されたモデルではなく、DeepSeek V4.1 Flashを追加学習したモデルだ。Particleはランク64のLoRAアダプターを学習し、ベースモデルのパラメーターのおよそ1.25%を対象に、より少ない推論トークンとツール呼び出しトークンでタスクを成功させるほど報酬が得られる強化学習を施している。
仕様はエージェント用途を意識したものだ。Particle-1は1,048,576トークンのコンテキストウィンドウと最大131,072トークンの出力に対応し、テキストと画像の入力、構造化JSON出力によるツール呼び出し、推論強度の設定、ストリーミングを備える(Vercelの掲載情報、Cloudflareのドキュメント)。Cloudflareではゼロデータ保持に分類されている。利用できるのはParticle API、OpenRouter、Vercel AI Gateway、Cloudflare Workers AIだ。一般知識の性能も大きくは変わらず、GPQA DiamondとMMLUはベースモデルから1ポイント以内に収まった。
Particle-1 APIの料金をプロバイダー別に整理
Particle-1 APIの料金が食い違って見えるのは、同じモデルIDを4つの販売窓口が異なる価格で提示しているためだ。Particleの発表資料では入力100万トークンあたり$0.30、出力100万トークンあたり$1.20。一方、ゲートウェイ経由では大幅に安い料金が設定されている。
| プロバイダー | 入力 / 100万 | キャッシュ入力 / 100万 | 出力 / 100万 |
|---|---|---|---|
| Particle直販(発表時の料金) | $0.30 | 該当なし | $1.20 |
| OpenRouter | $0.05 | $0.003 | $0.50 |
| Vercel AI Gateway | $0.13 | 明示なし | $0.50 |
| Cloudflare Workers AI | $0.25 | $0.03 | $1.00 |
OpenRouterの料金は、公開から2日後に変更された。価格トラッカーによると、10月30日に入力が$0.25から$0.05へ80%下がり、出力も$1.00から$0.50へ50%下がった。上表のOpenRouter料金は、Plotlyが掲載したOpenRouterの料金(入力$0.05 / 出力$0.50 / キャッシュ入力$0.003)と一致する。VercelとCloudflareの料金も、それぞれのゲートウェイ掲載情報とCloudflareのドキュメントに基づく。
「自分は料金を払う気になれない。DeepSeekを追加学習したものなのに、これだけ高い。かなり強欲に見える」— u/Any_Confidence2580、r/DeepSeekのparticle-ai/particle-1スレッド
実際の請求額を左右するのはキャッシュ率だ。Plotlyの実行では約80%のトークンがキャッシュ済みだったため、キャッシュ料金の安いゲートウェイほどParticle-1のコストは有利に見える。ルーティング先を決める前に、OpenRouterの$0.003とCloudflareのキャッシュ入力$0.03を比較しておきたい。
Particleの料金ページでは、前払いクレジットをトークン単位で計測し、ホスト型ウェブ検索は別料金としている。ゲートウェイ経由では、プロバイダーの優先順位指定、並べ替え、フェイルオーバーといった制御も利用できる(Vercelのドキュメント)。ベンチマークの支出を比較するなら、事前にモデルIDを固定しておこう。VercelとCloudflareではparticle/particle-1、OpenRouterの一部の掲載ではparticle-ai/particle-1だ。
トークン45%削減の仕組みと、効果が消える条件
Particleは平均で約45%少ないトークン数になると主張している。Terminal-Bench 2.1、ReactBench、ADE Bench、DeepSWE 1.1では、出力トークンが28.4%〜52.2%減り、タスクあたりのコストも34.4%〜51.6%下がった。4つのテストでPass@1は、いずれもベースモデルの信頼区間内に収まっている。
削減の中心は、考える時間を短くすることだ。Particleによれば、熟考を減らし、検証が済んだ時点で停止し、修正ループや探索を少なくすることで実現している。3つのテストでは、削減分のおよそ90%が推論の短縮によるものだった。ツール呼び出しのテキストが寄与したのは、DeepSWE 1.1で約30%にとどまる。
ある実行例を見ると、仕組みと限界がよく分かる。Terminal-Benchのgitタスクでは、確認のやり取りが11,445トークンから1,765トークンに減り、全体が47,006トークンから15,892トークンへ短縮された。一方、ADE Benchのタスクでは、8,722トークンを使うカスタムキーの代わりに、1,602トークンのマクロを再利用するという別の解決策で節約している。
購入を検討するなら、Plotlyの試験結果は必ず読んでおきたい反例だ。Particleの検証ループがないデータ分析問題では、Particle-1はDeepSeekより多くのトークンを使った。1問あたりの出力トークンは約6,900対6,200、モデル呼び出しは10回対7回、読み込んだトークンは380,000対280,000だった。それでも中央値のレイテンシーは、DeepSeekの21秒に対して16秒と短かった。
「つまり、得られたのは短い回答ではなく、より良い回答だった」— Plotly、Particle-1 Benchmark Results for Data Analysis
Particle独自のHarvey LAB仲裁条項テストでは、通常の1倍のアダプター強度で24.6%少ないトークン数ながら100%を達成した。しかし8倍の強度では、8件中合格したレポートは3件だけだった。1倍を超えて圧縮すると、冗長性とともに但し書きまで削ってしまう。
初期の独立ユーザーからも、同じ傾向が報告されている。ビルダーの@nexightaiは、35件のワンショット構築プロンプトをすべて$4.12で納品できたと報告している。一方、アナリストの@yibieは反対側の注意点を指摘する。判定役がいないタスクでは、簡潔な推論が契約レビューに必要な細部を飛ばす可能性がある。
コーディングエージェントにParticle-1を使うべきか
ミスを検出する検証機構があるならParticle-1を選びたい。料金だけでルーティングするなら、1回の実行あたりでは素のDeepSeekのほうが安い。
| ワークロードの特徴 | 選ぶモデル | 理由 |
|---|---|---|
| CI付きのエージェントPR、ターミナル作業、dbtパイプライン | OpenRouter / Vercel経由のParticle-1 | ベンダー側とPlotlyの評価が40/43クラスの品質で一致。$0.35でTerraと同率ながら、コストは約25% |
| キャッシュヒット率が高い1Mコンテキストのコードベース横断 | キャッシュ料金の安いゲートウェイ上のParticle-1 | Plotlyの実行では読み取りの80%がキャッシュ済み。キャッシュ入力料金の$0.003と$0.03を比較できる |
| 曖昧な調査、契約レビュー、正解データがない仕事 | ベースのDeepSeek V4.1 Flashまたはより大型のモデル | 8倍アダプターのテストとPlotlyでの誤ったデータ品質アラームが、「徹底度を下げる」代償を示している |
| 重みを自前ホスティングする必要がある | DeepSeek V4.1 Flash | Particle-1の重みとアダプターは公開されていない。利用できるのはAPIだけ |
OpenAI互換の最小限の呼び出し例(Cloudflareのエンドポイントを使用。プロバイダーに応じてベースURLとキーを変更):
from openai import OpenAI
client = OpenAI(
base_url="https://api.cloudflare.com/client/v4/accounts/$ACCOUNT_ID/ai/v1",
api_key="$CLOUDFLARE_API_TOKEN",
)
resp = client.chat.completions.create(
model="particle/particle-1",
messages=[{"role": "user", "content": "Fix the failing dbt test in models/marts/orders.sql"}],
max_completion_tokens=2048,
)
print(resp.choices[0].message.content)
公平に比較するには、自分の入力、キャッシュ入力、出力の各トークン数にプロバイダーごとの料金を掛け、成功したタスク数で割ればいい。自分のタスクを50件以上試し、推論の割合が下がっても合格率が維持されるなら、45%削減という主張が実際の環境でも通用する。Plotlyの試験のように出力トークンが増えるなら、買ったのはトークン削減ではなく、より良い回答だ。その前提で料金を見積もろう。
Particle-1 API FAQ
Particle-1 APIの料金はいくらですか?
Particle直販の料金は、入力100万トークンあたり$0.30、出力100万トークンあたり$1.20と記載されている。OpenRouterは入力$0.05、Vercelは入力$0.13、Cloudflareは入力$0.25、出力$1.00としている。
現在、Particle-1が最も安いプロバイダーはどこですか?
ここで比較した4つの販売窓口では、10月30日の値下げ後、2026年11月1日時点の公開料金としてはOpenRouterの入力$0.05 / 出力$0.50が最安だった。Vercelは入力が$0.13と高いものの出力は同額。Cloudflareは入力$0.25 / 出力$1.00で、直販より安い。ゲートウェイの上乗せ料金は変動するため、呼び出し時に再確認したい。
Particle-1はオープンウェイトですか?
いいえ。DeepSeek V4.1 Flashの重みは公開されているが、ParticleはParticle-1の重みもランク64のアダプターも公開していない。利用経路はParticle、OpenRouter、Vercel、CloudflareのAPIに限られる。
Particle-1はOpenAI SDKで使えますか?
はい。VercelとCloudflareは、particle/particle-1のようなモデルIDを使うOpenAI互換のChat Completionsエンドポイントを案内している。PlotlyはOpenRouter経由でモデルにアクセスした。ツール呼び出し、ストリーミング、JSON出力、画像入力にも同じ形式で対応する。
Particle-1で実際に節約できるのはどんなときですか?
自動チェックと高いキャッシュ再利用率があり、推論を短くしても検証に通るタスクなら節約につながる。検証機構のない自由度の高い分析では、Plotlyの試験でもトークン使用量が増えた。そうした用途では、トークン削減ではなく品質向上への対価として予算を考えたい。