無料のLLM APIキーは、プロトタイプやスクリプト、モデル比較に便利です。ただし「無料」だからといって、クォータが毎回更新されるとは限らず、本番運用にそのまま使えるとも限りません。
登録前に確認したい4つのポイント
申し込む前に、次の4点を確認しておきましょう。
| 確認項目 | 確認する内容 | 重要な理由 |
|---|---|---|
| 無料の種類 | 定期更新されるクォータか、トライアルクレジットか、キャンペーン提供か | 一度きりのクレジットは、恒久的な無料APIではない |
| 登録条件 | メールアドレス、電話番号、クレジットカード、地域の要件 | APIキーを作る前に登録が止まることがある |
| データと利用範囲 | 学習利用、評価専用、商用利用、再販に関する条件 | 無料であっても、プロバイダーの規約が適用される |
| インターフェース | OpenAI互換エンドポイントか、プロバイダー独自APIか | キーを取得できても、使い慣れたSDKで動くとは限らない |
定期更新型のクォータは一定期間ごとに回復します。一方、トライアルクレジットは使い切るか、有効期限を迎えれば終了です。以下の数値はすべて、その時点のスナップショットとして扱い、実際に使う前にプロバイダーの最新の上限画面で確認してください。
| プロバイダー | 登録時のハードル | 無料利用の現状 | API形式 |
|---|---|---|---|
| Google AI Studio | Googleアカウント。通常はカード不要 | Flashのクォータはモデルごとに異なる。AI Studioで確認 | プロバイダー独自 |
| Groq | メールアドレスまたは対応SSO | 一般的には30 RPM。1日の上限はモデルごとに異なる | OpenAI互換 |
| OpenRouter | アカウント。無料ルートならカード不要 | :freeモデルが入れ替わりで提供される。上限は変動 | OpenAI互換 |
| NVIDIA NIM | NVIDIAアカウント。電話番号を求められる場合がある | 評価利用の上限は一般的に約40 RPM | OpenAI互換 |
| Mistral | メールアドレスとアカウント認証 | 複数の製品で共有される無料クレジット | OpenAI互換 |
| Cloudflare Workers AI | Cloudflareアカウント | 無料枠は1日10,000 Neurons | プロバイダー独自 |
| GitHub Models | GitHubアカウント | アカウントとモデルに応じたプロトタイプ向けクォータ | プロバイダー独自/Azureベース |
| Z.ai | 開発者アカウント。地域が影響する場合がある | 一部のFlashモデルは$0で提供。同時実行は1リクエスト | OpenAI互換 |
正確な上限は変更される可能性があります。また、プロバイダーのモデル一覧に載っていても、自分のアカウントでは利用できないモデルがあります。
定期更新クォータか、トライアルクレジットか
引用したプロバイダーのドキュメントを見る限り、Google AI Studio、Groq、Cloudflare Workers AI、一部のZ.aiルートは継続的に利用できる枠を提供しています。一方、Cohereのトライアルキー、Hugging Faceの少額推論クレジット、登録時に付与される残高は別物です。これらは使うほど減っていきます。
カードと電話番号の要件
クレジットカードが不要でも、本人確認まで不要とは限りません。NVIDIA NIMでは登録時に電話番号認証を求められることがあり、MistralでもSMS認証が必要になるアカウントがあります。Google AI StudioとGroqは比較的始めやすいサービスですが、必要な情報はアカウントや地域によって変わります。
データ利用と商用利用の制限
Googleの無料枠に関する課金ドキュメントや、Mistralの料金ドキュメントには、データの扱いが有料アクセスと異なる場合があることが説明されています。個人情報や顧客データを送る前に、必ず最新のプロバイダー規約を確認してください。
OpenAI互換エンドポイントか、独自APIか
OpenAI互換のベースURLなら、使い慣れたSDKですぐ試せるのが利点です。ただし、互換性が完全に同じ動作を意味するわけではありません。モデルID、ストリーミング、ツール呼び出し、コンテキスト上限、エラー形式などはサービスごとに異なることがあります。Google AI StudioとCloudflare Workers AIはプロバイダー固有のリクエスト形式を使います。一方、Groq、OpenRouter、Mistralなどは、ドキュメント上でOpenAI形式のエンドポイントを提供しています。
プロバイダー別:APIキーの登録手順
以下のリンクは、共有キーを配布するサイトではなく、各プロバイダーのコンソールまたは公式開発者向けページです。キーは必ず自分で作成してください。README、動画、コメント欄に貼られたキーをコピーしてはいけません。
Google AI Studio:マルチモーダルを試すなら最初の選択肢
登録手順
- Google AI Studioを開く。
- Googleアカウントでログインする。
- APIキーの画面を開き、Create API keyを選ぶ。
- キーを一度コピーし、環境変数に保存する。
無料枠は、マルチモーダルの実験に向いています。Googleは、テキスト、画像、音声、動画を入力できるGeminiモデルを案内しており、掲載されているFlashの各種モデルでは、コンテキストウィンドウが最大100万トークンになる場合もあります。上限はモデルとアカウントによって異なるため、GoogleはAI Studioのクォータ画面を確認するよう案内しています。
まず使うなら:カードを登録せず、長いコンテキストやマルチモーダル入力を試したいとき。 注意点:最新のデータ利用条件と、地域ごとのAPIクライアント規約を確認すること。
Groq:OpenAI互換で高速に試せる定番ルート
登録手順
- Groq Consoleを開く。
- アカウントを作成するか、対応しているシングルサインオンを使う。
- API Keysを開く。
- キーを作成し、その場でコピーする。
公式に案内されているエンドポイントはhttps://api.groq.com/openai/v1です。Groqのレート制限ドキュメントには、モデルごとのRPMと1日の上限が記載されています。古いまとめサイトの数字をそのまま使わず、必ず最新ページを確認しましょう。Groqでは過去にモデルが終了したこともあります。
まず使うなら:使い慣れたOpenAI SDKで、対話的なレスポンス速度を重視したいとき。 注意点:モデルIDや、モデルごとの1日上限が変わる可能性があること。
OpenRouter:入れ替わる無料モデルを1つのキーで試す
登録手順
- OpenRouterを開く。
- 対応しているアカウントでログインする。
- Keysページを開く。
- キーを作成し、モデル一覧で
:freeのサフィックスが付いたモデルを選ぶ。
OpenRouterのエンドポイントはhttps://openrouter.ai/api/v1です。1つのキーで、入れ替わる複数の上流モデルにアクセスできます。ただし、利用可能なモデルや接続先プロバイダーは変わることがあります。リクエスト可能数を決めつける前に、上限に関するドキュメントを確認してください。
まず使うなら:モデルを比較したく、カタログが入れ替わることを許容できるとき。 注意点:無料モデルが消える可能性、地域による403レスポンス、アクセスの再販や競合プロキシの構築を禁じるプラットフォーム規則。
NVIDIA NIM:幅広いカタログと電話番号認証
登録手順
- NVIDIAのAPIカタログを開く。
- NVIDIA Developerアカウントを作成するか、ログインする。
- 求められた場合は電話番号認証を完了する。
- 呼び出したいモデルのページを開き、Get API Keyを選ぶ。
- 表示されたモデルIDを正確にコピーする。
公式に案内されているOpenAI形式のエンドポイントはhttps://integrate.api.nvidia.com/v1です。NVIDIAの無料ルートは評価利用を目的としており、カタログに載っているモデルと、実際に呼び出せるモデルが一致しない場合があります。組み込む前に、各モデルページの最新の上限を確認してください。
まず使うなら:多くのオープンウェイトモデルを試したいとき。 注意点:電話番号認証、モデルの利用可否、評価利用に限定される点。
Mistral AI:低スループットながら大きめの無料枠
登録手順
- Mistral開発者コンソールを開く。
- アカウントを作成し、求められた認証を完了する。
- 無料の実験モードを選ぶ。
- APIキーのセクションでキーを作成する。
Mistralのエンドポイントはhttps://api.mistral.ai/v1です。Mistralは、複数の製品で共有される無料クレジットを提供しており、現在の数値はアカウントのLimitsページで確認するよう案内しています。
まず使うなら:低い同時実行数で、多言語モデルやコーディングモデルを使いたいとき。 注意点:クレジットが共有されること、スループット制限、無料モードのデータ利用設定。
Cloudflare Workers AI:毎日付与されるNeurons枠
登録手順
- Cloudflareアカウントを作成する。
- ダッシュボードでWorkers AIを開く。
- ダッシュボードに表示されるWorkers AI権限を付けたAPIトークンを作成する。
- アカウントIDとトークンをWorkers AIのエンドポイントで使う。
Workers AIの料金ページには、アカウント全体で共有され、00:00 UTCにリセットされる1日10,000 Neuronsの無料枠が記載されています。Neuronsはトークンではないため、選ぶモデルによって消費量が変わります。有料のWorkersプランが必要なモデルもあります。
まず使うなら:アプリケーションをすでにCloudflare上で動かしているとき。 注意点:アカウント全体でクォータを共有することと、トークンではない課金単位。
GitHub Models:プロトタイプには便利だが、無料の本番バックエンドではない
登録手順
- GitHub Modelsにログインする。
- モデルを選ぶか、プレイグラウンドを開く。
- 現在のModelsの手順で必要とされるGitHub personal access tokenを作成するか、プレイグラウンドが生成するアクセス方法を使う。
- アプリケーションに組み込む前に、モデルの最新レート制限を確認する。
GitHub Modelsはテストに便利ですが、無料枠はアカウントとモデルによって異なり、少ない場合があります。無制限にプレミアムモデルを使えるサービスではなく、開発用のルートとして考えてください。
まず使うなら:コードや実験環境をすでにGitHubに集約しているとき。 注意点:アカウントによって上限が異なることと、プロトタイプ向けの制限。
Z.ai:同時実行1件で無料のGLMを試す
登録手順
- Z.aiのAPIドキュメントを開く。
- 開発者向けプラットフォームに登録する。
- ユーザーセンターでキーを作成する。
- 現在利用できるFlashモデルを選び、アカウントに適していれば国際向けエンドポイントを使う。
公式に案内されているエンドポイントには、https://api.z.ai/api/paas/v4と地域向けのhttps://open.bigmodel.cn/api/paas/v4があります。Z.aiの料金ページでは、一部のFlashモデルについて入力・出力料金がゼロと記載されています。ただし無料ルートの同時実行は1リクエストに制限されます。逐次処理のスクリプトには向いていますが、並列で動くエージェントには不向きです。
まず使うなら:中国語・英語の処理が必要なとき、またはGLMを試したいとき。 注意点:同時実行は1リクエストまで、地域によるエンドポイントの違い、モデル終了の告知。
キーを漏らさずに動作確認する
キーをソースコードやシェルの履歴に直接貼り付けないでください。環境変数に保存してから、小さなリクエストを1回だけ送ります。
export LLM_API_KEY="paste-your-own-key-here"
curl https://api.groq.com/openai/v1/chat/completions \
-H "Authorization: Bearer $LLM_API_KEY" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{
"model": "llama-3.3-70b-versatile",
"messages": [{"role":"user","content":"Reply with one word: ready"}],
"max_tokens": 8
}'
OpenAI互換の別プロバイダーを使う場合は、ベースURLとモデルIDを変更してください。レスポンスが失敗した場合は、次のように切り分けます。
- 401:キーが未指定、形式不正、無効化済み、または余計な文字付きでコピーされている。
- 403:モデル、地域、アカウント、または利用目的が許可されていない。
- 404:ベースURLまたはモデルIDが間違っている。
- 429:リクエスト数、トークン数、または同時実行数の上限に達している。速度を落とし、短い間隔で自動リトライを繰り返さない。
テストが成功しても、それは1つのモデルが1回応答したことを示すだけです。クォータが更新されること、本番利用が認められていること、すべてのモデルが同じ挙動をすることまでは保証しません。
「無料」ではなく、用途で選ぶ
| 状況 | 最初に試すサービス | 理由 | 主なトレードオフ |
|---|---|---|---|
| 初めてAPIを試す | Google AI Studio | 登録が早く、マルチモーダルなFlashモデルを使える | 独自APIとデータ利用条件 |
| OpenAI SDKでプロトタイプを作る | Groq | 慣れたエンドポイントと対話処理の速さ | モデル別の上限が変わる可能性 |
| 多くのモデルを比較する | OpenRouter | 1つのキーで多くの:freeルートを試せる | 利用可能性の変動と上流側のエラー |
| 大規模なオープンモデルのカタログを試す | NVIDIA NIM | 多くの評価用エンドポイント | 電話番号認証と評価利用の規約 |
| 多言語・コーディング用途を試す | Mistral | 幅広いモデルファミリーと共有クレジット | 低いリクエストレートと共有クレジット |
| Cloudflare上のアプリ | Workers AI | Cloudflare内で1日の無料枠を使える | Neuronによる計算とアカウント全体のクォータ |
| GitHubベースのプロトタイプ | GitHub Models | モデルのプレイグラウンドを手軽に使える | 少ない、またはアカウント依存の無料上限 |
| 中国語・英語を順番に処理するスクリプト | Z.ai | 無料のGLM Flashルート | 同時実行は1リクエスト |
無料APIキーを使い続けるべきではないケース
SLA、安定したスループット、顧客データに関する保証が必要な本番サービスに、無料キーは向いていません。公開プロキシにも不適切です。プロバイダーがアクセスの再販を禁止している場合があり、共有キーは予告なく無効化される可能性もあります。
キーは自分で作成し、サーバー側だけで管理してください。ログに出てしまった場合はローテーションし、公開リポジトリからコピーしたキーは絶対に使わないこと。公開キーはすでに使い切られているか、漏えいしている可能性があります。使うことで、プロンプトが正体不明の仲介者に渡るリスクもあります。
「無料LLM APIを宣伝しているのに、実際には提供せず、プロンプトを1つ送る前からレート制限エラーを返すなんて、いったいどうなってるんだ?」 — 無料LLM APIへの不満を語る実際のユーザー、@bunny3111039587
無料エンドポイントは、停止条件を決めたうえで試す実験環境です。有料キャパシティの代わりとして扱わないようにしましょう。
無料LLM APIキーに関するFAQ
クレジットカードや電話番号なしで、無料LLM APIキーを取得できますか?
多くの場合は可能です。Google AI Studio、Groq、OpenRouterは、一般にメールアドレスだけで始められるルートとして案内されています。一方、NVIDIA NIMや一部のMistralアカウントでは電話番号認証を求められることがあります。地域やアカウントによって条件が異なるため、登録画面で最新の要件を確認してください。
無料のGPT APIキーは取得できますか?
ホスティングプラットフォームや開発者向けプログラムを通じて、一部のGPT系モデルを無料で利用できる場合はあります。ただし、これは恒久的に無料のOpenAI APIキーと同じではありません。トライアルなのか、プロトタイプ限定なのか、第三者ゲートウェイ経由なのかを確認しましょう。
無料のClaude APIキーは取得できますか?
誰でも利用でき、恒久的に無料な第一者提供のClaude APIキーがあるとは考えないでください。ゲートウェイによってはClaude互換ルートを提供していますが、クレジットが必要だったり、別の規約が適用されたり、Anthropic互換エンドポイントが使われたりする場合があります。
無料APIキーには有効期限がありますか?
定期更新型の枠には明確な期限が設定されていない場合がありますが、トライアルクレジットは期限切れになるか、使い切ると終了します。プロバイダーがキーを無効化したり、モデルを終了したり、クォータを変更したり、無料ルート自体を廃止したりすることもあります。プロバイダーの上限を確認した日付を記録しておきましょう。
無料LLM APIキーを商用利用できますか?
自動的に許可されるわけではありません。トライアルや評価用のルートでは、本番利用や商用利用が禁止されていることがあります。モデル提供元が追加の制限を設けている場合もあります。商用機能をリリースする前に、プロバイダーとモデルの最新規約を確認してください。
429エラーが出たらどうすればよいですか?
レスポンスヘッダーとクォータ画面を確認し、同時実行数を減らす、指数バックオフを入れる、リクエストを短くする、許可されたフォールバックへ切り替えるといった対応を取ります。他人のキーを順番に使ったり、同じエンドポイントへ大量のリクエストを送り続けたりしてはいけません。
「無料APIキーを提供しているLLMはどれか」という問いへの現実的な答えは、マルチモーダル用途ならGoogle AI Studio、OpenAI形式のプロトタイプならGroq、モデルの選択肢を重視するならOpenRouterから始めることです。そのうえで、安定したスループットや非公開のプロンプトが必要になったら、有料環境またはセルフホスト環境へ移行しましょう。