コーディング用LLM APIをトークン単価だけで選ぶなら、最安はDeepSeek V4 Flashだ。ただし、今回のテストで最も扱いやすい回答を返したわけではない。要件を最も漏れなく満たしたのはKimi K2.7 Codeで、GPT-5.4 miniは4倍以上速く完了した。不完全なパッチで再試行が発生すれば、最安モデルの優位性は簡単に変わる。
同じTypeScriptバグを4つの低価格APIで検証
2026年7月30日、コーディング対応の現行API 4種に、同一のTypeScript並行処理バグを与えた。課題は小さいが、条件は厳密だ。mapLimitを修正し、出力順を維持すること、ユーザーコードを呼ぶ前に正の整数の並行数上限を検証すること、その上限を決して超えないこと、最初のrejection以降は新たな処理をスケジュールしないことを求めた。さらに、各回答にはテストをちょうど3件含める必要があった。
これは指示追従を1タスクで確認したサンプルであり、コーディングベンチマークではない。各モデルはユーザーメッセージ1件、ツールなし、出力上限8,000トークン、プロバイダー既定のtemperatureで直接実行し、4つの要件に対して手作業でレビューした。所要時間には、共通ゲートウェイとプロバイダー/ネットワークのオーバーヘッドも含む。
| モデル | 確認済み料金:入力 / 出力(100万トークンあたり) | 所要時間 | 実装 | テスト | 評価 |
|---|---|---|---|---|---|
| DeepSeek V4 Flash | $0.14 / $0.28 | 59.4秒 | 最終版は4要件をすべて満たした | 要求された挙動を網羅 | 使える回答として最安。ただし出力は冗長 |
| MiniMax M3 | $0.30 / $1.20(プロモーション) | 60.7秒 | 順序と並行数は正しいが、rejection状態の設定がPromiseレイヤー1つ分遅い | 関連するテスト3件 | 厳密な停止条件では惜しい |
| Kimi K2.7 Code | $0.95 / $4.00 | 64.3秒 | 順序付き結果と即時settled状態を備えたクリーンなスケジューラ | 順序/並行数、rejection、無効な上限を網羅 | 最も完成度の高い回答 |
| GPT-5.4 mini | $0.75 / $4.50 | 13.6秒 | 正しいワーカープール実装 | テストは3件だが、無効な上限は未検証 | 最速でクリーンな実装。ただしテストに穴 |
DeepSeek V4 Flash:最安だが、回答の整理は必要
DeepSeek V4 Flashは最終的に正しい実装を返した。結果配列をあらかじめ確保し、入力インデックスで値を格納し、limitを検証し、共有のrejectionフラグでワーカーを停止している。問題は回答の出し方だった。最終関数の前に、Promiseが解決されない経路を含む未完成の実装を出力し、その後でそのドラフトが誤りだった理由を説明していた。
開発者がすべての行をレビューするなら問題ない。しかし、最初のコードブロックを抽出して自動適用するエージェントには向かない。DeepSeekを低コストの初手として使うのは、テストと型チェックを必須ゲートにできる場合に限る。
MiniMax M3:魅力的な価格、ただし並行処理の端に注意
MiniMax M3は簡潔なコードを生成し、out[i]で順序も維持した。ただしrejectionフラグは、コールバック失敗を検知したワーカー内ではなく、外側のPromise.allのcatchで設定されていた。そのPromise reactionが1段余分に入るため、ほかのワーカーが停止フラグを確認するまでに、小さいながら避けられるスケジューリングの余地が残る。
価格は非常に魅力的だ。MiniMaxの公式ページでは、M3は入力512Kトークンまで入力$0.30/M、出力$1.20/Mの恒久的な50%割引とされている。512Kを超えると、割引後の料金は$0.60/$2.40に上がる。
Kimi K2.7 Code:今回もっとも完成度の高い回答
Kimi K2.7 Codeは、ドラフトと修正版を並べるのではなく、単一の実装を返した。スケジューリング前に上限を検証し、インデックス付きの結果配列を維持し、実行中のPromise数を制限し、rejectionハンドラでsettledを設定している。3件のテストは、この関数で壊れやすい3箇所、すなわち完了順、失敗後のスケジューリング、無効な上限をカバーしていた。
今回の実行ではKimiが最も遅く、トークン単価もDeepSeekや割引中のMiniMaxより高い。それでも、見落とし1件のコストがAPI利用料の数セントを上回るような、無人のエージェント作業なら、その差額を払う価値はある。
GPT-5.4 mini:最速のコード、テスト選定は不完全
GPT-5.4 miniは、条件を明確化した実行で13.6秒という最速の正しい実装を返した。コールバックを1つでもスケジュールする前に上限を検証する点を含め、コードは4要件を満たしていた。テスト3件は順序、最大並行数、rejection時の挙動を確認していたが、モデル自身の上限検証はテストしていない。
最初の試行では、関数全体をプロンプトに含めていたにもかかわらず、リポジトリのパスを尋ねてきた。この1回の失敗をモデル全体の信頼性スコアとみなすべきではないが、コーディングエージェントではモデル名ではなく成果物を検証すべきだ、という原則を改めて示している。
コーディングAPIを100回呼ぶと実際いくらか
トークン料金は、具体的なコーディング作業に当てはめると比較しやすい。各リクエストで、指示とリポジトリコンテキストとして新規入力8,000トークンを送り、パッチと説明として2,000トークンを受け取ると仮定しよう。上記の確認済み料金では、キャッシュを除く100回のコストは$0.168〜$1.56となる。
| モデル | 100回あたりのコスト | 計算式 |
|---|---|---|
| DeepSeek V4 Flash | $0.168 | 100 × (0.008 × $0.14 + 0.002 × $0.28) |
| MiniMax M3 | $0.48 | 100 × (0.008 × $0.30 + 0.002 × $1.20) |
| GPT-5.4 mini | $1.50 | 100 × (0.008 × $0.75 + 0.002 × $4.50) |
| Kimi K2.7 Code | $1.56 | 100 × (0.008 × $0.95 + 0.002 × $4.00) |
受け入れチェックが弱い環境では、失敗による再試行が1回発生するだけで、1回あたりの料金差を上回りうる。レビューや本番環境まで到達した壊れたパッチは、どちらのAPI呼び出しよりもはるかに高くつく。
リポジトリエージェントでは、安定したプロンプトやコードのプレフィックスを再利用できる。公式のキャッシュ入力料金は、DeepSeek V4 Flashが$0.0028/M、MiniMax M3が$0.06/M、Kimi K2.7 Codeが$0.19/M、GPT-5.4 miniが$0.075/M。変更されたファイルやツールのトレースは新規入力として扱われる。
チャット、分類、その他の非コーディング用途では求められる能力の下限が異なる。一般的な料金については、より広い範囲を扱う最安LLM API比較を別途参照してほしい。
「GroqとCerebrasは推論が猛烈に速いが、ある程度のボリュームに達すると強くスロットリングされる」— r/ArtificialInteligenceに投稿された開発者の報告
この報告はプロバイダー全体の結論ではなく、検証すべきケースとして扱うべきだ。候補に絞ったAPIについて、実際に動かす同時ワーカー数で測定してほしい。
コーディング用途別:最安で選ぶならどれか
コーディング向け最安LLM APIは、失敗をどこで検出できるかによって変わる。すべてのパッチを決定的なチェックに通せるなら、DeepSeekが最安の標準選択肢になる。モデル自身にエッジケースまで拾わせる必要があるなら、このサンプルではKimiのほうが安全だ。
| ワークフロー | 推奨 | 理由 | 避けるべき場合 |
|---|---|---|---|
| テストと型チェックのあるプロトタイプ | DeepSeek V4 Flash | $0.14/$0.28で、最終実装は正しい | レビューなしで最初のコードブロックを自動適用する可能性がある |
| 無人で回すコーディングエージェント | Kimi K2.7 Code | このサンプルでは実装とテスト選定が最も完全 | レイテンシまたは最小のトークン料金が絶対条件 |
| エディタ上の対話的な操作 | GPT-5.4 mini | 今回の4モデルでは13.6秒と圧倒的に速い | 生成テストに、明示した不変条件すべてのカバーを期待する |
| 大規模コンテキストで予算を抑えたい作業 | MiniMax M3 | 恒久割引下では512Kまで$0.30/$1.20 | 厳密な並行処理/エラー処理の意味論がタスクの中心 |
出力が$0.08/Mだからという理由だけで、小型の汎用チャットモデルを選ぶことは勧めない。安いコーディングAPIに必要なのは、ワークフローで実行できるチェックを通過するパッチを作れることだ。自動チェックがないなら、最安の定価ではなく、初回回答の完成度で選ぶべきである。
固定モデル1本より「安いモデルから」のルーティング
2段階のルーティングを使えば、最安トークン料金のメリットを得つつ、無条件に信頼せずに済む。モデルの選択は、プロンプトの長さや主観的な確信度ではなく、決定的チェックの結果で切り替えるべきだ。
- 最初の試行はDeepSeek V4 Flashに送る。
- リポジトリのフォーマッタ、型チェッカー、ユニットテスト、タスク固有の隠しテストを実行する。
- すべてのチェックに通った場合のみパッチを受け入れる。
- 失敗時は、元のタスク、失敗したパッチ、簡潔なテスト出力をKimi K2.7 Codeに送る。対話時のレイテンシが重要なら、代わりにGPT-5.4 miniを使う。
- エージェントが1件の問題に無限に費用を使わないよう、エスカレーション回数に上限を設ける。
このルートなら、単純なタスクではDeepSeekの1セント未満の経済性を活かし、実測された失敗に対してだけ高い料金を支払える。OpenAI互換の単一モデルレイヤーを使えば、切り替えは4種類の統合作業ではなくモデル名の変更で済む。AIReiter LLM API directoryでは、1つのエンドポイントからこれらのモデルを利用できる。
よくある質問
コーディング向けで最安のLLM APIは?
このテストで最安のコーディング対応APIはDeepSeek V4 Flashで、入力$0.14/M、出力$0.28/Mだった。最終実装は正しかったが、回答には壊れた放棄済みドラフトも含まれていたため、自動チェックと組み合わせるべきだ。
DeepSeekはコーディングエージェントに十分使える?
パッチを受け入れる前にテスト、型チェック、フォーマットを必ず通すなら、DeepSeek V4 Flashは低コストな初回試行として十分使える。強力なチェックなしで無人実行するタスクでは、この1タスクのサンプルではKimi K2.7 Codeのほうが完成度の高い回答だった。
API課金とコーディングサブスクリプション、安いのはどちら?
計測した入出力トークン数と表の料金から月間APIコストを算出し、その合計をサブスクリプション料金、リクエスト上限、APIまたはエージェントアクセスが含まれるかどうかと比較しよう。どちらの課金方式が本質的に安いということはない。
1行で決めるルーティングルール
コーディングタスクはDeepSeek V4 Flashから始め、決定的チェックを通過したパッチだけを受け入れる。失敗時はKimi K2.7 Codeへ、レイテンシが重要な作業はGPT-5.4 miniへエスカレーションする。料金は確認済みだが、品質の順序は制約付きの1タスクから得たものであり、自分のリポジトリで再検証すべきだ。
