Artificial Analysisで44というスコアが報告されているモデルとしては、Step 5 Previewの価格は驚くほど安く見えます。ただし、導入判断をトークン単価だけで決めるのは危険です。StepFunはモデルとAPI提供の方針を発表していますが、公開ドキュメントには完全なモデルページ、課金仕様、本番利用向けの契約条件がまだそろっていません。現時点では、標準の接続先ではなく、まずは限定的な試験導入の候補として扱うのが妥当です。
「利用可能」の意味によって答えは変わる
Step 5 Previewは、もはや単なる噂ではありません。StepFunの公式アカウントは2026年9月20日に提供を発表し、オープンウェイトを10月15日に公開する予定だと説明しています。一方、StepFunの公開プラットフォームをGoogleで検索しても、明確にインデックスされたstep-5-previewの情報ではなく、総合ポータルやStep 3.7のドキュメントが主に表示されます。ここで重要なのは、発表済みであることと、ドキュメントが整備された広範なセルフサービス型の本番利用が可能であることは別だという点です。
| 確認事項 | 現時点の回答 | 確度 |
|---|---|---|
| StepFunは発表したか | はい。公式アカウント@StepFun_aiが発表 | 高 |
| APIのモデルIDは報告されているか | step-5-preview | 中。アカウント上で要確認 |
| 公開トークン料金は報告されているか | 100万トークンあたり入力1ドル/出力2.70ドル | 中。第三者による測定・掲載情報 |
| 現在ダウンロードできるウェイトはあるか | 公開ウェイトは確認できず | 9月20日時点では高 |
| オープンウェイトは約束されているか | StepFunの発表では10月15日 | 発表内容の確度は高いが、提供は将来 |
StepFunが確認したこと、まだ裏付けのないこと
公式発表によると、Step 5 Previewはパラメーター総数600B、アクティブパラメーター27BのスパースMoEモデルです。コンテキストウィンドウは100万トークンで、テキストと画像の入力に対応し、エージェント処理、ソフトウェアエンジニアリング、金融分野に強みがあるとされています。ただし、これはあくまでベンダーの主張であり、すべてのAPI経路で広告どおりの上限や機能が利用できることを独立に証明するものではありません。
2026年9月20日に確認した時点で、公式プラットフォームの検索結果には、Step 5専用の料金ページやAPIページは表示されませんでした。そのため、レート制限、最大出力、関数呼び出し、キャッシュ課金、地域ごとの提供状況など、運用に直結する項目には一次情報による裏付けがありません。第三者のモデル一覧を、そのままStepFunの公式ドキュメントであるかのように本番設定へ持ち込むべきではありません。
@xueyu1125の実ユーザー投稿では、簡単なSVGアニメーションのテストについて、Artificial Analysisのスコアほどの実力を感じなかったと報告されています。特に3D処理と推論タスクで弱さを感じたという内容です(出典)。これは初期ユーザーによる一つの体験談であり、ベンチマーク結果ではありません。ただ、総合スコアだけであらゆる用途の性能を判断しないための注意材料にはなります。
「現時点で簡単に使った印象では、Artificial Analysisの44というIndexスコアには及びません。少なくとも3Dと推論能力ではGLM-5.3-Flashに届いていないようです🤣」— @xueyu1125による初期の実使用テスト報告(X)
Step 5 Preview APIの料金:報告値は慎重に使う
Step 5 Preview APIについて広く報告されている料金は、入力100万トークンあたり1.00ドル、出力100万トークンあたり2.70ドルです。Artificial Analysisは、キャッシュ利用時に95%の割引があること、さらにキャッシュヒット率70%、入力20%、出力10%という特定の構成では、混合料金が100万トークンあたり0.51ドルになると報告しています。この混合料金は特定の前提に基づく試算であり、すべての請求に適用される一律の単価ではありません。
| 利用内容 | 報告されている料金 | ローンチ前に確認すべき点 |
|---|---|---|
| 入力 | 100万トークンあたり1.00ドル | 一次情報に基づく料金か、地域別料金か |
| 出力 | 100万トークンあたり2.70ドル | 推論トークンが出力として課金されるか |
| キャッシュヒット | 95%割引適用時で100万トークンあたり約0.05ドル | キャッシュの対象条件と書き込みルール |
| 例:入力10万+出力2万トークン | 約0.154ドル | 税、最低料金、リトライ、隠れた推論使用量 |
基本的な計算は単純です。(入力トークン数 ÷ 1,000,000 × 1.00) + (出力トークン数 ÷ 1,000,000 × 2.70)で求められます。入力100,000トークン、出力20,000トークンのリクエストなら、割引やプロバイダー固有の追加料金を除いて、$0.10 + $0.054 = $0.154ほどです。
注意したいのは、出力が長くなりやすい点です。Artificial AnalysisのIntelligence Index評価では、出力トークンが合計約1億6,000万トークンに達しました。これは比較対象モデルの中央値である9,200万トークンを上回ります。出力単価が安くても、推論や回答により多くのトークンを使えば請求額は膨らみます。初期ユーザーからは、思考トークンが出力料金に含まれているように見えるという指摘も出ています(出典)。
性能シグナルは強いが、得意不得意がある
Artificial Analysisの報告では、Intelligence Indexは44、出力速度はおよそ毎秒100トークン、最初の回答トークンまでの時間は2.96秒です。一方、BenchLeaderは100万トークンのコンテキスト、毎秒100トークンの出力速度、最初の回答まで23秒という数値を掲載しています。レイテンシーの定義が異なることからも、ダッシュボード上の数字を単純比較すべきでないことが分かります。
| 指標 | 報告値 | 導入判断での見方 |
|---|---|---|
| Intelligence Index | 44 | 総合的には強いが、すべてのタスクでの性能を保証するものではない |
| 出力速度 | 毎秒99.8トークン | 生成が始まってからは競争力がある |
| 最初の回答トークン | Artificial Analysisでは2.96秒 | 測定定義と利用する経路を確認する |
| コンテキストウィンドウ | 100万トークン | モデルプロフィールだけでなく、実際のAPI上限を確認する |
| 評価時の出力 | 1億6,000万トークン | 冗長な回答と推論による使用量を見込む |
| 長文脈の結果 | 88.3%、BenchLeader掲載で2位 | 期待できるが、ベンチマークの条件が重要 |
ベンチマークの結果が一様に優れているわけではありません。BenchLeaderでは、Step 5 PreviewのSciCodeスコアを58.9%、順位を8位としています。一方、MMMU-Proは64位で、マルチモーダル性能が総合的に最も弱いカテゴリーだとされています。Artificial Analysisは画像入力に対応すると報告していますが、CloudPriceのカタログでは画像入力を含む複数の機能が利用不可と記載されています。StepFunが正確なAPI機能一覧を公開するまでは、アプリケーション設計ではサポート範囲が最も狭い前提で考えるべきです。
本番移行より、安全な試験導入を
現時点で得られる情報が支持するのは、無条件の切り替えではなく、範囲を限定した評価です。少額のテスト予算を設定し、第三者ページでは確認できない仕様を実際のAPIで検証しましょう。
- 公式アカウントでエンドポイントとモデルIDを確認する。
step-5-previewを使って問題のないリクエストを送り、返却されたモデル名、地域、ステータスコード、レート制限ヘッダーを記録します。 - 請求項目を記録する。入力、出力、キャッシュ、推論トークンの使用量を比較します。公開されている
$1/$2.70という数字だけから請求額を推測してはいけません。 - 長文脈は段階的にテストする。まず50Kトークン、次に100K、350Kと進め、前のリクエストが成功した場合だけ上限を引き上げます。最初のトークンまでの時間、切り捨て、エラーの挙動を記録してください。
- ツール利用と文章品質を分けて検証する。関数名、引数の妥当性、リトライ、編集前にモデルが対象の状態を読み取るかを確認します。Intelligence Indexのスコアだけでは、信頼できるツール実行能力は判断できません。
- フォールバックを用意する。失敗、タイムアウト、形式不正のツール呼び出しは、すでに自分たちの構成でサポートしているモデルへ振り分けます。プレビュー版のエンドポイントを、顧客向けワークフロー唯一の経路にしてはいけません。
複数プロバイダーを使う構成では、統合APIゲートウェイによってフォールバックを組みやすくなります。ただし、それでもStepFun独自の課金と上限を確認する必要はあります。大切なのは、未検証のモデルを予算、ログ、テスト済みの代替経路の内側に置き、影響範囲を抑えることです。
Step 5 Preview API FAQ
Step 5 Previewは正式リリース済みですか?
StepFunは2026年9月20日にStep 5 Previewを公式発表しました。ただし、公開ドキュメントと広範な本番利用の可否はまだ明確ではありません。「発表済み」を「完全にドキュメント化され、安定稼働している」と解釈しないようにしましょう。
Step 5 Preview APIのモデルIDは何ですか?
初期の報告では、モデルIDはstep-5-previewです。コードに固定する前に、StepFunの公式アカウントまたはAPIレスポンスで正確な識別子を確認してください。
Step 5 Previewの料金はいくらですか?
第三者の掲載情報とArtificial Analysisによると、入力は100万トークンあたり1.00ドル、出力は100万トークンあたり2.70ドルです。推論、キャッシュ書き込み、リトライ、地域別手数料が異なる扱いになるかは確認が必要です。
Step 5 Previewは現在オープンソースですか?
2026年9月20日に確認した情報源では、公開ウェイトは利用できませんでした。StepFunは10月15日にオープンウェイトを公開する予定だと発表していますが、これは現在の提供状況ではなく、将来に向けたコミットメントです。
画像入力と100万トークンのコンテキストに対応していますか?
StepFunの発表とArtificial Analysisでは、画像入力と100万トークンのコンテキストに対応するとされています。一方、カタログ情報には食い違いがあるため、実際に使うAPI経路でテストし、広告されている機能がどこでも有効だと決めつけないようにしてください。
結論は、モデル自体がまだ流動的であっても明快です。価格と性能のバランスが自分のワークロードに合うなら、計測可能な小規模パイロットを実施する価値はあります。ただし、StepFunがモデルページ、課金ルール、機能一覧、運用に必要な上限を公開するまでは、Step 5 Previewを本番環境の依存先にすべきではありません。
