Muse Spark 1.2のAPIには、価格差が大きい2つのティアが用意されています。Standardは入力100万トークンあたり$1.25、出力100万トークンあたり$4.25。一方、Contributorはそれぞれ$0.10、$0.20です。入力単価だけを見ると12.5倍の開きがありますが、ContributorではMetaがプロンプトや生成結果を学習に利用する可能性があります。さらに60 RPM、1日あたり約25万トークンというスループット上限もあるため、実際の節約額は単価ではなく、ワークロードの量によって決まります。
同じMuse Spark 1.2を使うStandardとContributor、その違い
Metaの推論重視コーディングモデル、Muse Spark 1.2(モデルID: muse-spark-1.2)は、Metaの開発者向けドキュメントによると1,048,576トークンのコンテキストウィンドウを備えています。どちらのAPIティアでも同じモデルにアクセスできますが、料金、データの取り扱い、処理量には差があります。
| 項目 | Standard | Contributor |
|---|---|---|
| モデルID | muse-spark-1.2 | muse-spark-1.2-contributor |
| 入力(100万トークンあたり) | $1.25 | $0.10 |
| キャッシュ入力(100万トークンあたり) | $0.15 | $0.002 |
| 出力(100万トークンあたり) | $4.25 | $0.20 |
| コンテキストウィンドウ | 1,048,576トークン | 1,048,576トークン |
| 長文コンテキスト追加料金 | なし | なし |
| データプライバシー | Metaはデータを学習に利用できない | Metaがプロンプト/出力を学習に利用する場合がある |
Metaのドキュメントによれば、いずれのティアにも長文コンテキストに対する追加料金はありません。
Standardのキャッシュ入力は$0.15/Mで、新規入力より8.3倍安価です。Contributorではさらに$0.002/Mまで下がるため、同じコードベースのコンテキストを繰り返し送るケースでは費用を大きく抑えられます。
「Muse Spark 1.2はすごい……価格も破格だ。」
— r/opencodeのユーザー
料金だけでは見えない、レート制限による実質的な上限
トークン単価だけで判断できるのは半分です。もう半分を占める処理量では、2つのティアに大きな差があります。
| 制限 | Standard | Contributor |
|---|---|---|
| 1分あたりのリクエスト数 | 3,000 | 60 |
| 1分あたりのトークン数 | 4,000,000 | 大幅に少ない(1日上限あり) |
| 1日あたりのトークン上限 | 無制限 | 約250,000トークン/日 |
| 適用単位 | チーム単位 | チーム単位 |
Metaの料金・レート制限ドキュメントによると、レート制限はAPIキー単位ではなくチーム単位で適用されます。キーを追加しても、スループットは増えません。
1日25万トークンでコーディングできる量
Contributorの1日約250,000トークンという上限は、次のセッションモデルに当てはめると分かりやすくなります。1ターンで入力8,000トークン、出力2,000トークン、合計10,000トークンを使うなら、上限に達するまでおよそ25ターンです。集中して取り組む1回のコーディングセッション程度には使えますが、反復的な開発を丸1日続ける用途には足りません。
実際のコーディングセッションではいくらかかるか
代表的なコーディングセッションを想定します。エージェントが8,000トークンのコンテキスト(コードベースとシステムプロンプト)を読み込み、2,000トークンの出力(コード編集と推論)を生成する。このパターンを1セッションで20回繰り返すケースです。
| ティア | 1ターンあたりの費用 | 20ターンのセッション |
|---|---|---|
| Muse Spark Standard | $0.0185 | $0.37 |
| Muse Spark Contributor | $0.0012 | $0.024 |
| GPT-5.6 Terra ($2/$12) | $0.0400 | $0.80 |
| Claude Opus 5 ($5/$25) | $0.0900 | $1.80 |
20ターンのセッションでは、Standardが$0.37、Contributorが$0.024です。Contributorでは後者のセッションだけで、1日25万トークンの上限の約20万トークンを使います。
Artificial Analysisのキャッシュヒット:入力:出力=7:2:1という比率を反映すると、Muse Spark 1.2 Standardのブレンドコストは100万トークンあたり$0.78まで下がります。
Muse Spark 1.2と競合モデルのAPI料金を比較
| モデル | 入力(100万あたり) | 出力(100万あたり) | ブレンドコスト* |
|---|---|---|---|
| Muse Spark 1.2 Standard | $1.25 | $4.25 | $0.78 |
| Muse Spark 1.2 Contributor | $0.10 | $0.20 | $0.04 |
| GPT-5.6 Terra | $2.00 | $12.00 | $3.00 |
| GPT-5.6 Sol | $5.00 | $30.00 | $7.50 |
| Claude Opus 5 | $5.00 | $25.00 | $7.00 |
| Claude Fable 5 | $10.00 | $50.00 | $14.00 |
\*Muse Sparkの行におけるブレンドコストは、キャッシュヒット:入力:出力=7:2:1として、0.7 × キャッシュ入力 + 0.2 × 入力 + 0.1 × 出力で算出しています。比較可能にするため、競合モデルの行では新規入力:出力=90:10のシナリオを使用しました。比率の手法はArtificial Analysisによるものです。競合の価格はOpenAIおよびOpenRouterを参照しています。
Artificial AnalysisはMuse Spark 1.2をコストパフォーマンスのパレートフロンティアに位置付け、Claude Opus 4.8に近い知能をタスクあたり約5分の1のコストで実現すると評価しています。上のブレンドコストはあくまでシナリオに基づく推計であり、単純な定価比較ではありません。すべてのモデルで同一ワークロードを使う20ターンのセッション表のほうが、より直接的な比較になります。
ベンチマークでは、Muse Code内のMuse Spark 1.2はTerminal-Bench 2.1で82.9%を記録しています。VentureBeatによれば、Claude Opus 5の86.7%には届いていません。
プロジェクト別:どちらのティアを選ぶべきか
ティア選びは単純な価格比較ではありません。データの機密性、必要なスループット、許容できるレイテンシを、プロジェクトの要件に合わせる必要があります。
Standardを選ぶべきケース:
- 自社コードや顧客コードなど、管理下から出せないコードを扱う
- 60 RPMを超える継続的なスループットが必要
- 1日のトークン使用量が250Kを超える
- 予測可能な負荷の本番パイプラインへ組み込む
Contributorを選ぶべきケース:
- オープンソースまたは個人プロジェクトで作業している
- 探索的な作業やプロトタイピングが中心
- 少量の探索的作業を最安のトークン単価で進めたく、60 RPMおよび約250Kトークン/日の範囲に収められる
- Metaがプロンプトを学習に利用することをチームとして許容できる
レイテンシも見落とせない要素です。Orca Routerの報告では、Spark 1.2の最初のトークンが返るまでの時間は26.12秒で、1.1の2.90秒に対して9倍の悪化となっています。ストリーミング応答の開始をほぼ即時に求めるワークフローには適しません。
もう1点注意があります。Redditでは、一部地域でContributorティアがリージョン制限されているという報告が複数あります。APIコンソールに表示されない場合は、利用できないと判断する前に、まずお住まいの地域で提供されているか確認してください。
Muse Spark 1.2は、OpenRouterのようなサードパーティルーター経由でも利用できます。Standardティアは同じ$1.25/$4.25で提供されていますが、レート制限の仕組みは異なる可能性があります。
FAQ
Muse Spark 1.2に無料ティアはある?
Metaの料金ページによると、API自体に無料ティアはありません。Standard、Contributorともに従量課金です。ただし、Muse Spark 1.2を動かすMetaのコーディングエージェントMuse Codeは、ベータ期間中は1日のトークン上限付きで無料利用できます。
セッションの途中でStandardとContributorを切り替えられる?
はい。Metaのドキュメントによれば、異なるモデルID(muse-spark-1.2とmuse-spark-1.2-contributor)を呼び出すことで切り替えます。ただし、事前にお住まいの地域でContributorへのアクセスが有効になっている必要があります。
Contributorティアは本番利用しても安全?
Metaがプロンプトと生成結果を学習に利用することを、自社のデータポリシーが許容する場合に限られます。自社コードや顧客コードを扱う場合は、上記のティア選定基準を確認してください。
Muse Spark 1.1から料金は変わった?
Metaのドキュメントによると、Muse Spark 1.1から料金は変わっていません。Standardはどちらも100万トークンあたり$1.25/$4.25です。Contributorティアは1.2で新たに追加されました。