GPT-6 SolとGPT-6 Lunaは、ひとまず価格だけ見れば分かりやすいモデルです。Solは入力100万トークンあたり$2、出力が$10。Lunaはそれぞれ$0.10と$0.50です。ただし実際の請求額は、キャッシュ、長いプロンプト、推論 effort、失敗時のリトライまで含めて考える必要があります。大量の抽出や振り分けならまずLuna、汎用的なAPI用途ならバランスのよいSolを基本にし、1回の失敗がトークン代の差額を上回る複雑な処理ではAstraを残しておくのが現実的です。
トークン単価ではなく、タスク全体のコストで決める
GPT-6 SolとGPT-6 Lunaは、2026年9月22日に提供が始まった商用APIモデルです。OpenAIはSolをより強力な汎用モデル、Lunaを特定用途の反復処理に向く効率重視のモデルと位置づけています。GPT-6のモデルドキュメントによると、両モデルともコンテキストウィンドウは105万トークン、最大出力は128,000トークンです。
用途ごとの基本的な選び方は次のとおりです。
| 用途 | まず試すモデル | 理由 |
|---|---|---|
| 分類、抽出、振り分け、要約 | GPT-6 Luna | 公開されているトークン単価が最も低く、スループットも高い |
| コーディングエージェント、ツール呼び出し、混在する本番トラフィック | GPT-6 Sol | Astraより大幅に安く、Lunaの品質帯まで下げずに使える |
| 失敗の影響が大きい複雑な多段処理 | GPT-6 Astra | 最大 effortのスコアでは、OpenAI自身のグラフでもAstraがSolとLunaを上回っている |
これはルーティングの目安であって、最安モデルなら必ずタスク全体も最安になるという意味ではありません。リトライが必要になったり、項目を取りこぼしたり、ツールを誤って呼び出したりすれば、大きな単価差は簡単に消えてしまいます。
GPT-6 SolとLunaのAPI料金を項目別に見る
以下は、OpenAIのAPI料金ドキュメントに掲載されている、100万トークンあたりの標準料金です。
| 請求項目 | GPT-6 Sol | GPT-6 Luna |
|---|---|---|
| 入力 | $2.00 | $0.10 |
| キャッシュ済み入力 | $0.20 | $0.01 |
| キャッシュ書き込み | $2.50 | $0.125 |
| 出力 | $10.00 | $0.50 |
| 272Kトークンを超える入力 | $4.00 | $0.20 |
| 272Kトークンを超える出力 | $15.00 | $0.75 |
| Batch/Flexの入力 | $1.00 | $0.05 |
| Batch/Flexの出力 | $5.00 | $0.25 |
| Fastモードの入力 | $4.00 | $0.20 |
| Fastモードの出力 | $20.00 | $1.00 |
APIで指定するモデルIDはgpt-6-solとgpt-6-lunaです。どちらもResponsesとChat Completionsで利用できますが、対応機能には通常どおりモデルページに記載された違いがあります。推論を有効にしたツール呼び出しに依存するアプリケーションでは、モデルIDを変更する前に、エンドポイントとeffortの組み合わせを確認してください。互換性の確認も移行コストの一部です。
掲載されているGPT-5.6のプロモーション料金と比べると、Solは入力・出力ともに$4/$20から$2/$10へ下がっています。Lunaは$0.20/$1.20から$0.10/$0.50です。入力とキャッシュ済み入力はいずれもちょうど半額ですが、Lunaの出力料金は半額を超える下げ幅になっています。OpenAIのローンチ比較では新料金をGPT-5.6のプロモーション料金より50%安いと説明しているため、この比較はその時点の料金を示す参考値として扱うべきです。
請求額を左右する3つのポイント
表面的な単価だけでは分からない、実運用で重要な請求上のポイントが3つあります。
長文コンテキストは使えるが、無料ではない
入力が272,000トークンを超えるリクエストには、そのリクエスト全体に対して高い長文コンテキスト料金が適用されます。コンテキストウィンドウは105万トークンありますが、大きなウィンドウを使えることと、無料で使えることは別です。Solで入力300,000トークン、出力20,000トークンのリクエストを送ると、入力がおよそ$1.20、出力が$0.30で、その他の調整を除けば合計$1.50ほどになります。Lunaでは約$0.06+$0.015、つまり$0.075です。
キャッシュは再利用して初めて効いてくる
キャッシュの書き込みは通常の入力トークンより高く、Solでは100万トークンあたり$2.50、Lunaでは$0.125です。一方、キャッシュ済み入力の読み出しは通常の入力料金の10%です。同じシステムプロンプトを繰り返し使うなら、最初の書き込み後は読み出し料金を大きく抑えられます。1回限りのプロンプトでは、キャッシュしただけで節約になるわけではありません。
OpenAIによると、GPT-6のキャッシュは推論 effortやツール設定の変更にも、従来より柔軟に対応します。ただし、見た目が似たリクエストならすべて同じプレフィックスを共有できると決めつけず、実際のキャッシュヒット率を計測してください。
BatchとFastは正反対の課題に対応する
BatchとFlexでは標準料金の入力・出力が半額になります。即時応答が不要なオフライン分類、大量抽出、評価処理に向いています。一方、Fastモードは標準料金の2倍です。割引ではなく、レイテンシを買うための機能だと考えてください。
たとえば、Lunaで入力1,000万トークン、出力100万トークンのバッチ処理を実行すると、$0.50+$0.25=$0.75です。同じ処理を標準モードで実行すると、$1.00+$0.50=$1.50になります。Fastモードでは、同じトークン量で$3.00かかります。
Luna、Sol、Astraをどう使い分けるか
大量のキューを処理するなら、まずGPT-6 Lunaを試すのが合理的です。Digital Appliedがまとめたローンチデータでは、OpenAIのエージェント系ベンチマークでLunaの最高スコアはSolを下回っていますが、タスク単位のコストは大幅に低くなっています。ベンダーが報告した表では、Lunaは最大 effortでDeepSWE 66.6%を$0.22/タスクで達成し、Solは68.8%で$2.74/タスクでした。これはあらゆる環境に当てはまる料金ではなく、実際の請求額はプロンプトとリトライ方針で変わります。それでも、ルーティングやバックグラウンド処理にLunaを置く理由は十分に示されています。
汎用APIの出発点としては、GPT-6 Solのほうが安全です。Capital & Computeの報告によると、SolとClaude Sonnet 5の公開料金は、入力$2、出力$10、キャッシュ済み入力$0.20で一致しています。同社の独立したIntelligence Index比較ではSolが優勢でしたが、同じページでは、総合ベンチマークだけでは実際のハーネスとの適合性は測れないとも注意しています。ツール利用、コーディング、出力の完全性が重要で、Lunaの安価な失敗が高くつくなら、Solを選ぶべきです。
GPT-6 Astraは、なおエスカレーション先として有効です。OpenAI自身の最大 effortの表では、AutomationBench、Agents’ Last Exam、FrontierCode、DeepSWE、OSWorldでAstraがSolを上回り、事実誤認率も低いとされています。これはベンダーによる結果であり、あなたの用途での成績を保証するものではありません。それでも、すべてのリクエストをAstraに送るのではなく、失敗を検知したときのフォールバックとして残す判断を支持する材料にはなります。
実ユーザーの議論を見ると、このフォールバックが必要な理由が分かります。Luna 6とLuna 5.6を比較したRedditスレッドで、u/AdmiralMcNuggetは「質問されたことには答えた。聞きたい質問をしよう。『この条件に合う項目はどれ?』と」と書いています(スレッド)。これは1ユーザーの体験であり、ベンチマーク結果ではありません。ただ、本番運用で追加すべき確認項目を示しています。モデルが技術的には正しい要約を返しただけなのか、それとも要求されたリストを返したのかを検証しましょう。
初期データから分かること、まだ分からないこと
現時点の情報からは、コスト面では強い結論を出せます。一方、性能については慎重に見る必要があります。
OpenAIのリリース資料では、SolとLunaはGPT-5.6より安く、Astraは最上位モデルと位置づけられています。Digital Appliedによるローンチ時のグラフ分析では、引用された2つのグラフ、DeepSWEとOSWorldにおいて、GPT-5.6 SolがGPT-6 Solを上回っていました。ただし、その分析で報告された環境では、新モデルのタスク単価のほうが低くなっています。Capital & Computeも同様に、ベンダーのベンチマーク用ハーネスと独立ベンチマークのハーネスは、自動的に比較できるものではないと指摘しています。
引用されている初期ユーザーの反応も一様ではありません。APIユーザーの中には、料金が下がったことでLunaのほうが自分の用途に合うという人がいる一方、回答が短くなった、完全性が落ちた、追加のプロンプトが増えたという報告もあります。繰り返し問われているのは「どのモデルが勝つか」ではなく、「リトライ、項目の欠落、ツール呼び出しの失敗まで含めても、トークン料金の安さは維持されるか」です。
まずは小規模なホールドアウト評価を実施し、完了タスクあたりのコスト、追加フォローアップが必要になった割合、重大エラー率の3つを測定してください。Lunaは最大 effort、Solはxhighまたはmaxで、現在使っているモデルと比較します。ただし、プロンプトとeffort設定を同時に変えると結果を解釈しにくくなるため、ベンチマーク条件は固定してください。
GPT-6 SolとLunaのAPIに関するFAQ
GPT-6 SolのAPI料金はいくらですか?
GPT-6 Solは、入力が100万トークンあたり$2、キャッシュ済み入力が$0.20、出力が$10です。キャッシュの書き込みには100万トークンあたり$2.50かかります。
GPT-6 LunaのAPI料金はいくらですか?
GPT-6 Lunaは、入力が100万トークンあたり$0.10、キャッシュ済み入力が$0.01、出力が$0.50です。キャッシュの書き込みには100万トークンあたり$0.125かかります。
コーディングエージェントにはGPT-6 SolとLunaのどちらが向いていますか?
コーディング品質とツール呼び出しの信頼性を重視するなら、まずSolを使ってください。バックグラウンドのサブエージェントや反復的な処理では、最先端の性能よりもタスク完了時のコストが重要になるため、Lunaを試す価値があります。
GPT-6 SolとLunaには長文コンテキスト料金がありますか?
あります。入力が272,000トークンを超えると、公開料金はSolが入力・出力で$4/$15、Lunaが$0.20/$0.75に上がります。長文コンテキスト料金はリクエスト全体に適用されます。
BatchとFlexのほうが安いですか?
はい。OpenAIはBatchまたはFlex処理について、標準の入力・出力料金の半額を設定しています。インタラクティブなリクエストではなく、処理を待てる用途向けです。
最初に使うべきモデルはどれですか?
大量の構造化処理にはLuna、通常の本番APIトラフィックにはSol、失敗時の損失が料金差を上回るタスクにはAstraを使ってください。最終的なルーティングはトークン単価だけでなく、タスク完了時のコストで検証しましょう。
実運用での結論
予測しやすい大量処理は、まずGPT-6 Lunaへ移行しましょう。コーディングやツールを多用する処理には同じインターフェースの背後にGPT-6 Solを置き、GPT-6 Astraはエスカレーション先として残します。この3段構成なら、安いトークンが必ず安い結果につながると決めつけずに、料金メリットを取り込めます。